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神の基準
「チッ…どうして我が神はこんな品の無い女を見初めたんだ?」
「品の無い女って何!? …っていうか、神様に見初められた? 私は神様に目を付けられたってこと?」
「そうです。私は神様に命じられて、あなたを巫女にスカウトしたんです。神はご乱心だ」
「そんなことないよ。その神様、見る目あるよ。私が世界中の誰よりも可愛いことを分かってるんだから」
「あなた、地雷ですね?」
スーツ姿の男性が叩いた陰口は、真依子の耳に備わっているノイズキャンセリング機能によって掻き消された。
「僕の声が聞こえてますか?」
「うん。私が世界で一番可愛いって言ったんだよね? 照れるなあ」
「言ってないですよ!? それ、自分で言ってただけですよ!?」
真依子は悦に浸った笑みを浮かべる。ダメだコイツ。
「それに、別に神様はあなたが世界中の誰よりも可愛いから見初めたわけではありません」
「じゃあ、なんで??」
「あなたが『処女にしてはまあまあ可愛い』からです」