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大仏
「うわあ、想像していたよりもだいぶ大きい…」
大本殿で大仏を目の当たりにした美雨が息を漏らす。
「たしかにすごいサイズ感ね。怖い人に襲われそうになったときには守ってくれそう。でも…」
真依子はうーんと唸る。
「これだけ身体が大きいと住む場所を探すのが大変だよね。都内だと難しいかも…」
「真依子、何意味不明なこと言ってるの?」
「あと、顔はイケメンとは言い難いなあ…でも、イケメンだったら浮気が心配だし、ちょっと不細工なくらいの方がちょうどいいのかも。っていうか、めちゃくちゃ優しそうな顔してるなあ。やっぱり男は顔よりも優しさかなあ」
「真依子、大仏を見る視点が変だよ?」
真依子はキョロキョロと辺りを見渡し、大仏についての説明書きを見つけた。
「名前は盧舎那仏かあ。結婚したら私の苗字は盧舎那かな? 下ネタよりはマシね」
「結婚? 真依子、銅の塊と結婚するの?」
「…は! ヤバい! 日頃の経験からついついそういうマインドに!」




