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幻聴
美雨の顔が急にイケメンに変わる。驚いて飛び跳ねそうになった真依子だったが、やがて事態を把握する。美雨の顔が変わったのではなく、神様の顔が美雨の顔に重なったのである。神様は幽霊のように、美雨の体を通り抜けることができるようだ。
「お嬢ちゃん、友達ができて良かったのう」
「良くない!」
「なんでじゃ? 友達はいた方がいいじゃろ?」
「誰が友達かによるの!」
キョトンとした顔の美雨が口を挟む。
「さっきから誰と話してるの? 幻聴が聞こえるの? せっかく友達になってあげたんだから私と話しなさいよ」
「なんで私が美雨に同情されて友達にされなきゃいけないの? それもこれも下ネタ神のせいだ!!」
「わしのせい!?」
真依子はプリプリしながら早足で南大門へと歩を進める。
「待っとくれ! 仏の元には行かないでくれ!」
「これは幻聴」
耳を塞いだ真依子はさらに歩を速める。
「門はくぐらんでくれ! 頼む!」
「これは幻聴これは幻聴」
「お嬢ちゃああん」




