30/87
無関心の理由
「先生、この神社に何しに来たの?」
笠井がハッとした表情で口を押さえる。
「わざわざ放課後に真依子様に会いに来るだなんて、まさか真依子様のストーカーなんじゃ…」
「神主さん、違います! 俺が三郷のストーカーなわけないです」
「笠井さん、そうだよ。先生が私をストーキングするわけないじゃん」
「そうです。俺は三郷にこれっぽちも魅力を感じてないですから」
「は?」
「違う! そういう意味じゃない! 三郷、落ち着け!」
オミクジの入った木箱を持って振りかぶった真依子の腕を、芦原が慌てて掴む。
「俺は三郷だけじゃなくて、俺の学校の女子生徒全員に興味がないんだ」
「それは教師としての建前でしょ?」
「違う! 俺は呪われてるんだ」
「え? 呪い?」
「ああ。今日はその呪いを解くためにこの神社に来た」
「何の呪い?」
「…11歳〜14歳までの女性しか恋愛対象として見られない呪い」
「それって…」
単なる性癖じゃん、という率直な感想を真依子は抱いた。