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ファッション討論
「…っちょ、ダサいって何よ! 分かったわ! あんた貧乏人でしょ! 貧乏人だから私に嫉妬してるんでしょ!?」
「断じて違います……というか、僕はファッションについて討論したくてあなたに声を掛けたわけではありません」
「巫女のスカウトでしょ? 私、あんな白いブカブカの布は着ないし、赤いブカブカのスカートだって履かないからね。みすぼらしい。ダサすぎ」
「はあ? 巫女装束がダサいですって? あなた,巫女装束のこと分かってないですよね? ズブの素人に教えてあげますけど、袈裟は単なる白い布ではありません! 神聖なんです! 何にも染まらない白色なんです!」
「お兄さん、冷静になろ?」
「そして、赤は生命力を意味するとともに穢れを払う色! あなたみたいに頭が穢れた女には、巫女の袴なんてもったいないです!」
「あの、ファッションについての討論はやめませんか?」
「巫女装束はファッションなんかじゃない!!」
真依子は気付く。
この男は変態だ、と。