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先生
「おぉ、三郷じゃないか」
「先生!」
真依子から「先生」と呼ばれたのは、少し色黒で筋肉質の若い男性だった。
「真依子様、このマッチョは何者ですか?」
「芦原先生。私の高校の先生だよ。生徒からも人気があるんだ」
「僕はもっと真面目そうな教師の方がいいと思いますけどね」
「何? もしかして笠井さん嫉妬してるの?」
笠井がしどろもどろしている間に、芦原はオミクジ売り場まで近づいてきた。
「三郷、こんな格好でこんな場所で何してるんだ?」
「強制労働」
「ちょっと真依子様、人聞きの悪いこと言わないでください!」
「三郷、大丈夫か?」
「強制労働は冗談。私、オミクジ売ってるんだ。先生、オミクジする? 1回100円だけど、今ならサービスで100回8000円でやらせてあげる」
「オミクジって何回もやったら意味ないんじゃないか?」
「そうかもしれないけど、先生、お金に困ってるJKを援助するつもりで頼むよ」
「真依子様、言い方が怪しいですよ」




