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夫婦喧嘩

「ナマケモノとはなんじゃ！　神の苦労も知らないくせに！」

「知るわけないじゃん！　神の力を使うのがシンドイ？　はあ？　何ザレゴト言ってんのよ？」

「本当にシンドイんじゃ！　神の力を使ってから数日間は，反動として，まるでインフルエンザにでもかかったかのようなヒドイ体調とヒドイ気分が続くんじゃ！」

「あれ？　あんた，昨日，私に無理やり婚約届にサインさせるために神の力を使ったよね？　その割にはピンピンしてるけど…」

「ゴホッゴホッ…」

「急に咳込むのわざとらしい…」

　真依子が神様を睨みつけると，なぜか神様はホッコリした表情を浮かべた。

「…なんかいいのう」

「何が？」

「わしはこういう夫婦喧嘩にずっと憧れてたんじゃ」

「キモい」

「…とにかく，ワシは呪いの解除のための祈祷なんかやらんからな！」

「絶対に？」

「お嬢ちゃんがわしとコウノトリを呼ぶ儀式をやってくれるんじゃったら考えなくもないぞ」

「絶対に嫌！　このエロジジイ！　地獄に落ちろ！」