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苦汁をなめる
ムキになってじゃんけんを繰り返す真依子を笠井が制止する。
「真依子様、これは呪いで間違いないです。この世の中に呪いは存在していますから」
「そうかもしれないね。神様も存在しているわけだし。ST◯P細胞は分からないけど」
「巫女様、信じてもらえましたか?」
「はい」
女性がホッとした表情を見せる。
「ただ、先ほど『生きていけない』と言ってましたが、じゃんけんで勝てないことが人生においてそこまで障害になるんですか?」
「はい。パートでの早番・遅番、町内会の面倒な役職等々、誰もやりたくないことは、最終的にはじゃんけんで負けた人に押し付けられます」
「なるほど」
「しかも,私の主人は私がじゃんけんに弱いことを知っていて、2人が揉めたときは必ずじゃんけんで決着をつけようとします。そのせいで、常に私は家庭で虐げられている一方、主人は悠々自適に過ごしているんです」
「それって呪いというよりは旦那さんの人格の問題なんじゃ…」




