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リップサービス
鼻歌交じりでルンルンで境内の落ち葉を掃く笠井を、真依子は怪訝そうに眺めていた。
「笠井さん、そんなに楽しいの?」
「楽しいです。人生が楽しいです。やっぱり神社には巫女さんがいないとね! 闇に包まれた世界に一筋の光明が差し込んだようです」
「私、性悪女だけど、それでもいいの?」
「もちろん。むしろちょっとくらい性格が歪んでいる巫女の方がドMの僕としてはゾクゾクします。真依子様、素敵です」
「気分は悪くないわね。気持ちは悪いけど」
「『気持ち悪い』だなんて、僕、巫女さんに罵られると興奮しちゃいますよ?」
「気持ち悪いわね。ただただ気持ち悪いわね」
「ああ、もっとください。もっともっと」
「うわっ、こっち来ないでよ! マジでキモいから!」
「ああ、巫女さんに嫌われてるだなんて、最高」
「ドMにも限度があるわよ!? 来ないで! あんたゾンビなの!? 離れて!」
「もっと嫌がって。もっともっと」
「あああああああ」
「あああああああ♡」