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改名
真依子が人妻、いや、神妻になった翌日、スーツ姿の男性の言いつけを守り、真依子は放課後に例の神社へと訪れた。
「こんにちは」
「ちょっとあんた、なんで変なコスプレしてんのよ」
昨日はスーツ姿だった男性は、時代錯誤な袴姿で真依子を迎えたのだった。
「コスプレじゃありません! 仕事です! 僕はこの神社の神主なんです!」
「へえ、ただの巫女フェチじゃないんだ」
「そうです。ただの巫女フェチではありません」
巫女フェチは否定しないのかよ、と真依子は心の中でツッコむ。
「そういえば、まだ名乗ってなかったですね。僕、笠井といいます」
「私は真依子」
「巫女なのにマイコですか?」
「人の名前にケチつける気?」
「はい。舞妓はいただけないです。巫女の宿敵ですから」
「そんなこと言ってる人、日本中で笠井さんだけだと思うよ?」
「ミコに改名してください」
「は?」
「あとで市役所に改名届出しておきます」
「昨日から私の戸籍を勝手にイジるのやめて!」