14/87
童貞
「私、巫女になんてならないから! 離婚よ! 離婚!」
「お嬢ちゃん、早まらないでくれ!」
「離婚調停起こしてやる!」
「待っとくれ! 巫女になるメリットもちゃんとあるんじゃ」
「何?」
「モテる」
「一部の巫女フェチにだけでしょ!? ここにいるお兄さんみたいな」
「僕は巫女フェチじゃありません! 巫女は全男子の憧れの存在なんです!」
「黙れ変態」
真依子はスーツ姿の男性のみぞおちを、つま先で蹴飛ばした。
「うぐ…暴力女め…」
「お嬢ちゃん、モテる以外にもメリットはあるぞ」
「何? どうせしょうもないやつでしょ」
「婚姻費用として、お嬢ちゃんはわしから月20万円をもらえる」
「ダーリン、大好き♡」
真依子は階段を駆け上がると、神様にギュッと抱きついた。
「金の亡者め…」
「あんたは黙ってて。次は金蹴りするよ? …ん?」
真依子は異変に気付く。腕の中で神様が気絶している。
「あれ?」
「神は女子の刺激に弱いのです。なんというか、その…童貞なので」




