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神現る

 露骨に落ち込んだ真依子が石畳を見つめながら体育座りをしていると、突然、スーツ姿の男性が声を上げた。



「おお、神!」


 顔を上げた真依子は、男性の視線の先に目を遣る。本殿に向かう階段の中央付近に、干し柿のようにしわしわなお爺さんがいた。



「うわあああいやあああむりいいい」


 真依子が発狂する。



「旦那がジジイとかマジむりいい死にたいいい」


「お嬢ちゃん、ちょっと待っとくれ」


 神様がそう言うやいなや、どこからかモクモクと煙が立ち込め、神様の姿を隠した。

 しばらくして煙が晴れると、元々干し柿がいた場所にイケメンがいた。



「これでどうじゃ? お嬢ちゃんはこういう若くて背が高くて中性的な顔をした男性が好きなんじゃろ?」


「さすが神、お優しい。ワガママな妻のために姿を変えるだなんて」


 一瞬デレっとした表情を見せた真依子だったが、大きく首を横に振った。



「一旦お爺ちゃんの姿を見ちゃったからむりいいい」


「え?」


「第一印象が大事なの!」

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