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ご成婚

「マジ無理! こんなの反則でしょ! あんた、早く止めなさいよ!」


 真依子の意思とは裏腹に、婚姻届の「妻となる人」の欄にはすでに「三郷真依子」の名前が埋まっていた。



「止めろ、と言われても、僕にはどうすることもできません。超能力を使っているのは僕ではなく神ですから」


「下ネタ神、ふざけないで! どこにいるのよ!?」


 真依子は雲一つない上空を見渡す。手元を見ていないというのに、真依子の手はゴミゴミしたカバンの中から印鑑を見つけ出し、それを取り出した。



「印鑑までカバンに入れてるとは準備がいいですね」


「これは芸能事務所にスカウトされたときにすぐに契約するためのもので、下ネタ神と結婚するためじゃないから!」


「結果オーライです。お、どうやら完成したみたいですね」


 全ての必要事項が記入された婚姻届は、風に乗ってどこかに飛んでいった。



「きっと神が市役所まで飛ばしたんでしょう。ご成婚おめでとうございます」


「嫌だーーーー!」

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