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備前宰相の猫  作者: 山田忍
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吉利支丹殺し

 堺の夜、

「どこだ……あの男はどこだ……」

 吉利支丹殺しは夜の堺をうろついている。

「どこだ…………」

 吉利支丹殺しは、殺すべき者を見つけて、夜の堺を徘徊している。

「どこにいる……」

 吉利支丹殺しは分かっている。殺すべき者がいる事を、

「どこだ……仇……」

 吉利支丹殺しは走って探しに来た。

「吉利支丹……殺す……」

 吉利支丹殺しは、吉利支丹そのものが憎いのではない。唯一の大切は一族が吉利支丹に殺されたから憎いのだ。

 吉利支丹でない者は殺さない。だが、吉利支丹の疑いがある者は容赦なく殺害する……それだけだ。

「吉利支丹……憎い……」

 そして、あの時見た猫……思い出した。そうだ……あいつから全てが始まったのだ。

 あの猫を捕まえなければ、死ななかったのに……。

 そうだ。あの猫と吉利支丹が居なければ死ななかったのに……。

「猫も吉利支丹も憎い……」

 そうなってくると全てが憎い。

「あれは……」

 見たことある南蛮衣装……。あれは、あの吉利支丹の南蛮衣装……。

 見つけた……やっと見つけた……。

「見つけた……」

 あの男は気付かずに歩いている。音を立てず、気配を悟られずに走る。

 距離は段々と近づいてくる。

「あの男だ……」

 もう少しで、あの男に近づく。

 まずは右腕を切断してやる。

 以前受けた苦しみを思い知るがいい!

 それから、たくさん苦しめてやる!

 右腕を振り下ろした!

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