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備前宰相の猫  作者: 山田忍
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奥御殿にて

 とある日の夜、大坂城奥御殿寝室にて、

「さて」

 侍女が寝室の戸を開けると、中に怪しい人影があった。

「何者⁉」

「誰でもいいじゃない」

「これは僕らの物だ」

 正体は妙な二人組の男女だ。その男の方は太刀を持っている。

「これは、我らが大切にしている物! 簡単には渡さん! 誰か! 曲者じゃ!」

 北政所の呼び声で武具を持った侍女達が集まった。

 それを見た二人組の男女は、

「簡単にねえ」

「とにかく頂きましょう」

「行くわよ」

 怪しい女は鞭を振り、近くで構えている二人の侍女を打った。

「きゃあああああ」

「いやああああああ」

 二人の侍女は倒れた。

「ちょろいわね」

「そうですね——⁉」

 鞭で打たれた侍女の一人が、妙な二人組の男の足を掴んでいる。

「放せ!」

 妙な男は、蹴とばして放そうとしている。

「…………放しません、殿下様の物を渡しはせぬ……。北政所様……お逃げ下さい……」

「離れましょう! 曲者は手段を問いません!」

 他の侍女達は言うが北政所は動かず、

「だが……」

「……お逃げ…………ください」

 妙な男の足を掴んでいる侍女が弱い声でつぶやいた。

「……」

 北政所達が離れて行くと、

「放せって、言ってるだろ‼」

「そうよ、放しなさい」

 二人がかりで蹴られて、侍女は気絶した。

「やったわね」

「そうですね!」

 二人組は外に出て、長屋の方に走って行くと、大量の兵が出て来た。

「逃げるわよ」

「はい」

 怪しい男が四角い箱の出っ張りを押すと、空から巨大なイルカがやって来た。

「な、何だ⁉」

「な、何者だ⁉」

 兵達は逃げ、驚き騒いでいると、イルカの口が開き、二人はその中に飲み込まれる様に入った。

「あ⁉ 見ろ‼」

 イルカは空高く飛び去った。

 それから、しばらくして、

「ああ……こんなに……」

 北政所達は戻り、傷だらけになった侍女の手当てをした。

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