猫の遭遇(その2)
夜、俺は如月がいる屋敷に来た。
「ねえ、これ!」
「どうぞ受け取って!」
「出て来てよ~!」
屋敷の周りには貢物を持ったファンがいて、わかりやすい。
「さあ、入っちゃダメです」
体格のいい女中が押さえているな。これで俺は入りやすくなっている。
屋敷の中に入った俺は如月を探す事にした。
ここは……。ウオーキングクローゼットか。
ここは……。風呂か。
ここは……。物置か。
貢物があるな。普段ならくすねるが、今回は違う。
ここは……。寝室か。
赤い大きなベッドがあり、壁も床も赤色だ。
「?」
歌が聞こえる。この歌声は如月か。
見てみると、春画を置いて、裸で横になって歌っている如月だ。
「……ヴィレッジ・シンガーズの『好きだから』か。古い歌だな」
「あら、そうよ。すっごく良い歌だと思わない?」
「ふん。俺は虎派だ」
「この歌、気に入った人がいてね。小袖一枚で教えたの」
「……」
「それがこれよ。綺麗だと思わない。これ着てデートって、妄想するだけで興奮しない?」
「……」
如月は股を広げると、
「ねえ、青猫ちゃん? ボクの舐めない?」
「誰が、お前は——」
如月と会話をすると、
「そういうこと、わかった?」
「わかった。停戦だ」
「ふふ、いい子ね。触ってあげようか?」
「お前に触られても嬉しくない。それよりだ」
「それより?」
「バカ猫に会ってくれないか? あいつはお前に興味があるみたいだ」
「いいわよ。ボクも気になるし、明日、会ってあげるわ」