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備前宰相の猫  作者: 山田忍
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猫と奪還

 ならず者集団のアジトを見つけたオレたちは、

「見つけたぞ」

「ああ」

「これからどうする?」

「そうだな。この中に如月が居るのだろう。如月を救出しないと」

「じゃあ、行くか」

 戸を蹴り飛ばして、アジトの中に入った。

「何だ⁉ うぬらは⁉」

「何もんだ⁉」

 高イビキをかいて寝ていた連中は目を覚まして、武器を取った。

「如月を返せ‼」

「返してもらうぞ!」

「は、ええ⁉」

「そうはさせねえよ!」

 一人が向かってきたが、オレたちは怯まずに、

「ぐわあ!」

「ぎゃあ!」

 八郎は斬り、オレは叩いた。

「如月はどこだ⁉」

「如月は奥の部屋にいます……」

「そうか!」

 奥の部屋に行こうとすると、また敵が沸いてきた。

「何者⁉」

「何だ……うわっ‼」

 さっきより多いが、オレと八郎で、それでも難なく倒せる。

「ぬわあ!」

「ぐ……」

「行くぞ、八郎!」

「ああ!」

 部屋にいた敵を倒し、先に進むと、明らかに怪しげな一番奥の部屋の前まで来た。

「来たぞ」

「恐らく、ここだな」

 オレが部屋の戸を開けると、生臭い臭いがして、その臭いの中に一人の男と人がいた。

「……」

「猫丸、あの娘が如月だ」

「あの子が……」

 如月は、オレより一つ二つ年下ぐらいの、清純で上品さを兼ね備えた絵師が描いた絵よりも遥かに愛くるしい子だ。この時代では珍しいボブカットと可愛い顔が印象的な子だ。

「⁉」

「助けるぞ!」

「ああ、だが……」

「だが?」

 如月の着ている着物は、現代のドレス風にしたような着物を着ている。

「何でもない。それより如月を放せ‼」

「そうだ。放してもらおう」

「何で放さないといけないんだよ!」

 そういうと、如月を抱え込み、短刀を首に押し付けた。

「……」

「ほら、うぬらも如月に傷がつきたくなければ、武具を捨てろ」

「く……」

「八郎、どうする?」

「刀を置くぞ」

 八郎は刀を床の上に置いた。

「——わかった」

 オレも八郎の言葉通り木刀を置いた。それを見たならず者のボスは、

「ふん、これでいいんだ、よ‼」

「うわあ!」

 武器を置いて、何もしていない八郎を蹴り飛ばして、

「ぐっ……」

「八郎‼」

 蹴り飛ばされた八郎は、壁にぶつかり倒れた。

「てめえ‼」

「なら、大人しくしろ。全員無傷でいたいのなら」

 ならず者のボスは短刀を如月の顔に近づけた。

「くそ……」

 オレは大人しくしている時、ふと、如月を見た。

 如月はオレたちの様子を見ても無表情のままだ。

「……」

 普通は短刀で脅されて怯えているはずなのに、無表情でオレたちを見つめている。

 ここは戦国時代のはずだ。その時代だから、怯えていないのか? だとしたら何だ? なぜ、冷静でいられる?

「……」

「次は怪物の番だ」

「く……」

「じゃ——」

 その時、倒したならず者の一人が乱入してきた。

「ぎゃあ‼」

 引っ張られる様に突進してきた一人によって、ならず者のボスは吹き飛ばされた。

「如月! 逃げるのだ!」

 八郎が呼びかけると、如月は歩いて、オレたちの元に来た。

「……」

「来たか!」

 八郎は嬉しそうだが、如月は不愉快そうだ。

 ならず者のボスは吹き飛ばされてから、ちっとも動かない。

「気絶しているよな」

 オレがならず者のボスをつついていると、

「恐らく、その者はしばらく起きない」

「そっか。じゃあ、行くか」

 オレたちは如月を連れて外に出た。

「八郎、大丈夫?」

「ああ、平気だ」

 八郎は問題ないらしい、良かった。

「如月、無事でよかったな」

「怪我は無い?」

 見たところ、怪我は無さそうだが、

「……」

 相手にしない。

「如月、これから大坂城に行く」

「……」

「大坂城に如月を待っている者が沢山いる」

「……」

「だから、如月来てくれ」

「……」

 如月は大坂城の方向に向かって歩きだした。

「よし!」

「これでいいのか?」

「いいのだ! 行くぞ、猫丸」

「ああ」

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