猫と捜索
オレたちも如月を探す事にした。
「すいません。こんな白拍子来ていませんか?」
「知らないねえ」
有名な絵師が描いた似顔絵を見せて聞いてみる。
「すいません——」
「知らない——」
こうして数時間が経った。
「見つかったか⁉ 猫丸?」
「いや! 見つからない‼」
「そうか。一体、何処に……」
「八郎、焦ったらダメだ。冷静になって探さないと」
「冷静に……そうだな。焦っては大事な事を見逃してしまう」
冷静になった八郎は、
「猫丸、私はもう一度、如月が居そうな場所を探してみる。猫丸は猫丸で人が多い場所を探してくれないか?」
凛とした態度に戻り、歩き出した。
「ああ!」
オレとエリンギで大通りに行き探していると、
「えー、饅頭はいらんかえー」
以前、オレたちを騙した饅頭売りの声がした。
「ああ、猫なん? 饅頭を……」
「饅頭より、これ!」
「これは……」
「白拍子の如月を知りませんか? 今、探しているんです!」
「ああ、如月ねえ……」
「知っていますか⁉」
「うちの饅頭食べて、向こうに行ったわ」
饅頭売りは道外れを指さした。
「あっちですか⁉ それから?」
「それからは、わからんわ。見てまへん」
「わかりました! ありがとうございます!」
何か言われる前に、大急ぎで道外れに行った。
そうして道外れに行くと、
「誰もいないな」
「いないな」
周りを見渡すと、人はいなくて薄暗い。
「本当に、いないな」
「⁉ バカ猫‼」
「⁉」
誰もいないかと思うと、数人組の男たちが‼
「誰か来ているぞ」
「羽柴の連中か。うっとおしい」
「捕まえるぞ」
気が付くと数人の男に囲まれてしまった。
「囲まれたか。けど!」
このぐらいなら相手に出来ると、木刀を持ち、立ち向かった!
「たあ!」
「「ぐおおっ!」」
「てりゃ!」
「ぎゃああああ」
数人の男たちは倒れて、思っていたより、あっさりと倒せた。
「く、くそ……撤退だ……」
敵は逃げ出したが、
「とりゃ!」
先回りして、連中の前に来た。
「な、に、逃げるぞ!」
反対に逃げようとしたが、それより速く前に出て、
「待て‼」
それより速く反対に来たが、相手は逃げたので、
「逃がすかぁ!」
逃げる敵を殴りつけて捕まえた。
「こ、これまでか……」
「逃がさないぞ!」
木刀を持って構えると、
「い、命だけは……」
敵は震えだし、丸まった。
「命は助けるさ。その代わり、お前たちは如月を誘拐したのか?」
「き、如月って、あの白拍子の?」
「そうだ」
「ゆ、誘拐って、そんなことが?」
「ああ、あったんだ。それで皆で探している。お前たちがしたのか?」
もう一度、木刀を構え直した。
「そ、そんな! 俺達じゃ、ありません!」
「そうですよ‼ 如月は、俺達じゃなくても高嶺の花です!」
「じゃあ、誰が⁉」
「そ、それは……」
「「「……」」」
周りが黙り込んでいると、その内の一人が沈黙を破り、
「俺達と敵対するならず者の集団ですよ! あいつらが束になって、如月を捕まえたんですよ!」
如月の行方を教えた。
「そうなのか?」
「如月がここに現れると、奴らが出て来て、そのまま如月を捕まえて逃げて行ったんですよ‼」
「止めなかったのか?」
「はい! そうです! 俺はただ見ていただけです! 俺が一人で行っても、すぐに返り討ちに遭うだけですから!」
「そのまま、放っておいたって事か」
「そ、そうです‼」
「その後、如月がどうなったのか、知らないって事だな」
「は、はいぃぃぃいいい‼」
「どうなっているのかは、わかった。聞くけど如月の場所は?」
「そそ、それなら、お書きします!」
話していた男が、地面に地図を描いている。
「ありがと! 如月を探しているだけなんや! それやのに、こんな地図まで描いてくれて」
「……へっ? そうなんですか?」
「じゃあ、それだけの為に?」
「そうだよ。その事さえ教えてくれればいいんだ」
「そ、そうだったのですか⁉」
「ああ、ありがと!」
地図をスマホで写すと、オレたちは去った。
そして八郎と合流すると、
「猫丸! わかったのか?」
「ああ、如月を見たならず者集団が親切にも、地図を描いてくれたんだ」
「そうか。それで、どうなっている?」
八郎にスマホで写した地図を見せた。
「この地図の通りに行けば、如月はいるみたいだ」
「そうか、では猫丸行くぞ!」
「ああ!」
オレ達は救出に向かった。