猫の遭遇(その1)
バカ猫が茶会に行った時、俺はこっそり、後ろからついて行った。
「猫殿、着きました。——猫殿」
「なに?」
ここがそうか。昨日、バカ猫が、
『八郎、茶会に行く事になったけど』
『茶会? 誰のだ?』
『長岡殿って言ってた』
『長岡殿か⁉ 長岡殿か——』
成程、細川忠興の屋敷に行くのか。ならば、俺も行かねば!
『ああ、後、エリンギは置いて行けって、王の兄ちゃんが言ってた』
『ふにゃああ(何ぃぃ)⁉』
高槻市のラッパーめ! 余計な事を!
そんな事があるから、俺は単身、長岡屋敷に行く事にした。
そうして屋敷の中に侵入…………成功!
「えーと、何処だ?」
探してみると、明らかに警備が厳重な所が! 俺はサイコキネシスを使い、石を動かして、
「何だこれは⁉」
「何だ⁉」
石を動かして、警備している連中を引き付けて移動させ、その隙を見て掻い潜った。
そうして室内に行く前に中を見ると、二人の家臣が監視している。
これも……さっきと同じやり方で、
「石⁉」
「石が動いているぞ‼」
二人の家臣を追い出した後、俺は悠々と中に入った。中には女が二人いる。
「…………」
「お玉様、相変わらず憂鬱で」
居た! あれがそうか! やはり美女だ‼ 侍女もやはり美女だ‼
「ふにゃ~おん!」
「あら? 愛らしい猫? 何処から迷い込んだのかしら?」
侍女に頭を撫でられ、上機嫌になった俺は、
「ふにゃあん!」
用意した花を二輪渡した。
「これを私達に……嬉しいわ。はい、お玉様の分も」
「…………そう」
元気が無い。ならば、とっておきの!
「ふにゃあん! ふにゃあ!」
俺は羽が付いた扇子を持って得意のダンスを踊る事にした。実は昔、お立ち台で師匠の側で踊った事があるから、その踊りを踊ったが……。
「…………」
「こんなに愛らしく踊るのに、お玉様、元気がない……」
——無理か。今度は……。
「ふにゃあん」
頭を摺り寄せた。が、反応は無い。仕方ない。
「ふにゃ!」
俺は帰る事にした。
「また来てね。今度は餌を用意するわ」
「…………」
取りあえず、顔を見る事は出来た。今度は元気になった時に行こう。
なあに、いつかは元気になる、史実通りならな。
さて、可愛い子ひっかけてから帰ろうか。