表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
備前宰相の猫  作者: 山田忍
42/153

猫の独り言(その4)

 寝てしまったか。

 朝から現在の時間で言えば、午前零時まで勉強しっぱなしだからな、さすがのバカ猫も限界か。

「戻った——」

 戻ったか。女男。

「あ、あの馬鹿——」

 女男は、バカ猫の動く尻尾を見て何も言わなくなった。

「…………」

 女男はきょろきょろと周りを見てから、

「——柔らかいな」

 バカ猫の尻尾を触っている。それを見ていると、

「こっちは……」

 俺の尻尾を触りだした。女なら触られてもいいが、中身が男では嬉しくない。

「硬い。骨があるからか?」

 バカ猫と俺の尻尾を代わる代わる触っている。

「ンニャンニャ……」

 まだ寝ている。おめでたいヤツだな。バカ猫。

「……」

 どうした? ⁉

「猫ちゃ~ん! えりんぎちゃんって言うんでちゅよね~?」

 い、いきなり、抱きしめてきた‼

「えりんぎちゃ~ん!」

「…………」

 バカ猫が寝ていて、あのボンボンもいないからか。女男は、俺を見て幸せそうな顔だ。わかりやすい。

「えりんぎちゃんって、抱き心地いいでっちゅね~。幸せでちゅ~!」

「…………」

 キャラが違いすぎるぞ! さっきまでのバカ猫との扱いが違いすぎる!

「えりんぎちゃん~! よちよち!」

「…………」

 女なら、ふにゃん! って可愛く鳴くが、男では何も言う気になれない。

「えりんぎちゃん~。可愛いね~」

「…………」

 ——しつこい。

「ふにゃん」

「え、えりんぎちゃん⁉」

 俺は女男の腕から離れて、バカ猫に猫パンチを食らわせた。

「ん?」

 起きた。すると、女男は普段の表情になり、

「馬鹿猫ー‼ 何故、起きた‼」

 顔を赤くして激怒しているが、バカ猫は寝ぼけながら、

「えっ? 寝てたんですか?」

「寝ていろ!」

「そ~ですか。じゃあ……」

 女男が激怒しながら言うと、すぐ寝た。すると女男は、あの幸せそうな顔になり、

「えりんぎちゃん! いい子いい子~」

 女男は、俺に頬を摺り寄せている。

 ……起きろ、バカ猫。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ