猫の独り言(その2)
俺は南蛮かぶれに誘われて、バカ猫とボンボンと共に夜の町=傾城屋か賭場に行くことになった。が、その時、可愛い雌猫ちゃんを見かけたが逃げられ、落ち込んでいると、
「小西殿だけでなく、えりんぎもいないのか⁉」
あの南蛮かぶれがいないのか、傾城屋か賭場に着いたら後はどうでもいいが、それまではな。
「ああ! そうだ! どうせエリンギはどっかの女に引っかかっているだけだろうが!」
悪かったな、事実だが。それにしても、
「だが、小西殿が……」
「ああ、いったいどこに?」
「「⁉」」
何だ。ガキ二人がバカ猫とボンボンを袋に詰めて連れ去った。
ガキの一人は男、もう一人は女! しかも可愛い‼
これは、ついて行くしかない!
追いかけると、堺の近くの海辺にある小屋に着いた。
小屋に入ると部屋が二つある。女の子も気になるが、俺は人がいない部屋に入り、部屋の臭いを嗅いだ。
「昔訪れたギャロウェイの洞窟ほどではないな」
それでも、この部屋は臭い。吐き気を催すくらいの悪臭だ。
「女の子に会う前に、こんな悪臭が染みついてはまずいな」
早く出ようかと思ったが、部屋の中が気になるので、部屋の中にある物を調査する事にした。運が良ければ金目の物があるかもしれないと思ったからだ。
周りを見ると、吊るされている物や、干している物、刺激臭がする物、だけでなく、大きな石で重石をした桶が何個かある。
俺は重石と蓋を除けると、桶の中を覗き見た。中には干からびた物があるだけだ。
「現ナマがいいのだが……」
残った桶の重石と蓋を外して中を見た。が、全部中身は同じ物だった。
「ふん」
金目の物は無し、か……。さて、女の子に挨拶した後はどうする? 取りあえず、あの二人を助けるか?
そんなくだらない事を考えていると、戸が開く音がした。