猫の独り言(その1)
俺は可愛い雌猫に声をかけたが、玉砕した。
「フラレた……。うまくいかない……。ん?」
見ると、バカ猫が連れ去られて行く。
どうするか? 取りあえず、あのボンボンに連れ去られた事を説明するか?
「あれ? 猫丸?」
キョロキョロと探しているボンボンを見つけた。さて、
「ふにゃ~あ」
「あ、えりんぎ、どうしたのだ?」
「ふにゃああ! ふにゃあ!」
取りあえず、バカ猫の危機を教えておこう。
「もしかして……。猫丸に何かあったのか⁉」
「ふにゃ!」
「そうか、どうすれば?」
俺は走って、ボンボンを案内した。
「あっ⁉ 待て!」
走って、時々、ボンボンを見る。うまく付いて来ているみたいだ。
そうして、あの太ったオヤジの屋敷にて、
「ここか? 猫丸ー!」
ボンボンは刀を抜いて、中に入った。その結果、
「ふん、捕まったか」
俺は様子を見る事にした。そうして、二人が襲われそうになっている。
「女なら喜んで見るのだが、男ではな」
女だったらハイライトだから真剣に見るのだが、男は見たくない、絶対に見たくない。仕方ない、助けてやるか。
俺は内緒にしている力を使う事にした。
「……」
「ぐわぁっ!」
押さえていた一人を、俺の能力であるサイコキネシスを使って操り、攻撃する事にした。
川の流れを無視して大木を動かしたのも、飛び降りても無事なのは、そのためだ。
何も知らない奴らは、操っている人間を殴っているが、無駄だ。気絶しても俺を止めない限り、あいつは動き続ける。
周りの連中は怯えて逃げ出した。が、全員黙らせるまでは操る事にした。そうして、次々と倒して、残るは太ったオヤジだけになった。
「こ、こら! ワシだぞ! ワシを誰だと思ってい——」
怯えているな。脅かしてやれ。
「ひ、ひいいいぃぃぃぃ!」
ほう、体型に合わず速いな。だが、関係ない。
太ったオヤジも殴って気絶させた。
これで終わったな。もう、これには用は無い。
おっと、二人が出て来るな。さて、俺は先に出よう。
先に屋敷に帰ると——か、可愛い! 可愛い雌猫ちゃんだ!
雌猫ちゃんは、俺の視線に気づくと逃げた。
また……フラレた。そして、屋敷に帰って来た。
「猫丸、本当に大事は無いか?」
「ああ、無事だ」
あの二人の声がする。
会話が終わり、ボンボンが出る前に隠れ、その後、バカ猫の元に行く。
「エリンギ、お帰り」
「……」
優しく言うな。何だか不愉快だ。俺は寝る! だが、
「——無事でよかったな。バカ猫」