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備前宰相の猫  作者: 山田忍
146/153

猫と説教

「えっ⁉ なにこれ⁉」

 女房衆とかと言った女の人たちが皆、妄想みたいな事や書を書いているではないか。

「あれはあれで~」

「きゃっきゃっ!」

「猫丸の姉の影響か。皆、あの様な事になったではないか‼」

「ま、待てよ。確かに姉ちゃん。BLとか教えていたけど……」

 オレはふと、姉ちゃんの言葉を思い出した。

『腐女子は一匹いれば百匹以上に繁殖する!』

「……本当なんだな」

「何が本当ですか。猫殿」

「うおっ⁉ 王の兄ちゃん‼」

 王の兄ちゃん、すげぇ怖い‼

「これは何ですか。皆が男色にのめり込むとは」

「これは……その……」

「猫殿、後で私を屋敷に連れて行ってもらいたいのですが」

「えっ⁉」

 完全にヤバい。

「よろしいでしょうか?」

「私は構わないが……? 猫丸?」

「…………いいっすよ」

 こうして夜、

「帰って来たわよ! ……ん?」

 姉ちゃん、王の兄ちゃんの説教を……。

「猫殿、猫殿の姉上をお借りします」

「私、何?」

 王の兄ちゃんは姉ちゃんを連れて行った。

「……どうなるんだろう?」

「さあ? それは分からない」

 朝になり、

「帰って来たわよ」

 不機嫌そうな姉ちゃんが帰って来た。

「おおっ⁉ 姉ちゃん⁉ 朝帰り⁉」

「朝までなるなんて、何でよ‼ もう‼」

「……猫殿、何ですか。貴方の姉は」

 王の兄ちゃんも来ていたが、

「王の兄ちゃん⁉ 顔色悪‼ えっと……その……」

「……あの様な方は初めてです。色々な意味で」

「あの……ごめんなさい」

「猫殿が何故謝るのです? 気に病む事ではありません」

「翔、何があっても腐女子はやめないわよ。あんたたちもよ!」

「オレたち⁉」「私達⁉」

 顔を見合わせてから、

「「何かやめる事あったのか?」」

「とにかく、高槻市のラッパーは帰りなさい! 私はしなきゃいけない事があるのよ!」

「長岡殿の事?」

「まさか、長岡殿を——」

「違うわよ。他に私の技術にほれ込んだ人がいるからよ」

「姉ちゃんの技術? 動画? コスプレ? なに?」

「コスプレ……かしらね」

「あんまり変な服作るなよ」

「作ってないわよ。失礼ね」

 ならいいけど。

「では、猫殿。私は帰ります」

「ああ」

 だが、王の兄ちゃんは小声で、

「諦めませんよ」

 と、言っていた。

 翌日、

「これ、いいわね」

「いいでしょ。お気に入りなの」

 如月が宇喜多屋敷に来て、BL本を読んで嬉しそうになっている。

「猫丸……」

「どしたん?」

 八郎は小声で、

「客人が来ているのだが……」

「客人?」

「声が大きい! 行くぞ」

「あ、ああ」

 客人の所に行くと、

「猫さん。坊ちゃま。来ました」

「弥九郎さん⁉」

「実は——」

「弥九郎様ー‼」

 どんな耳をしているのか、如月が走って玄関まで来た。

「き、如月ぃ⁉」

「弥九郎様‼ 何の用⁉ 今からボクと——」

「阿呆‼ 猫さんの姉さんに用があるんや‼」

「あら、薫に?」

「せや、儂の屋敷に行くんや。猫さんの姉さんだけやで」

「オレはどうでもいいけど、とりあえず姉ちゃん、呼んでくるよ」

 姉ちゃんを呼んで事情を説明すると、

「わかったわ。如月——」

 何やら、如月に耳打ちをして、

「わかったわ」

 それから、姉ちゃんは、

「行って来るわね」

「では、行きましょうや」

 姉ちゃんと弥九郎さんの二人は行ってしまった。

 少ししてから、

「ん? そういえば、如月は?」

「あっ? いない」

 その後、

「帰って来たわよ」

 姉ちゃん一人で帰って来た。

「あれ? 姉ちゃん。如月は?」

「如月? ああ、如月なら、あのイケメンの屋敷よ。こっそり、ついて来るように言ったの」

「やっぱり、そうか」

「屋敷には、案の定、高槻市のラッパーと他数人いたわよ。それで如月を呼んでおいたの。今頃、何をしているのかしら」

「「……」」

 知りたくない。

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