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備前宰相の猫  作者: 山田忍
145/153

着物について

 その頃、長岡屋敷では、

「ああ…………‼ どれも見事な生地だ……‼」

 長岡殿って殿方は、この時代には無い色とりどりの生地を見て興奮しているわね。

「いいでしょ! コスプレ用の布、持って来てたのよ!」

「茶色まである……」

「そりゃ、あるわよ」

「茶色…………これは見事だ……茶色と言う色は…………武士は皆……こぞって着る色だ……」

「それまで……黄色い色だ…………だが、最近……石灰を使う事で赤みの強い茶色になったのさ……」

「それは、初めて聞いたわ」

「この様な…………布と着物があるのなら……おいで…………」

 ある部屋に通すと、

「ここに……」

 部屋の中に居たのは美しい女性……だけど、どことなく儚げね。

「……」

「この人は?」

「美しいだろう…………某の妻、お玉だよ……」

「えっ⁉ ああ、結婚しているわね」

「? 君は……女だから……いいのさ…………女で駄目なのは……あの…………男を追いかける淫乱な白拍子だけさ…………」

 途中から、声のトーンに怒りが入っているわね。何かあったのかしら?

「それで、どうするの?」

「ああ……お玉の為に似合う着物を作ってほしい…………」

「服を? いいわよ! 任せなさい!」

 メジャーを出して、

「何それ……」

「メジャーよ。これで体の形を測るのよ」

「お玉に何かしないだろうな……」

 刀に手が触れているけど、強気に、

「しないわよ。私を斬ると見事な着物は永久に着れないわよ」

「…………」

「さあ、ダンナも出て! 女性の体を測るから!」

「……」

 大人しく出て行ったわね。よしよし。

 測り終わると、

「もういいわよ!」

「いいの……」

 型紙用の紙を出し、型紙を作り始めると、

「何……? これ……?」

「型紙よ。布を型紙に合わせて切るの」

「へえ……」

 型紙を作り、布を切ると、

「次はこれ、持ち運び可能な小型ミシン! これで……」

「おお……」

 ミシンで縫うところを見て、長岡殿の目は完全に釘付けになっているわね。

「これ…………欲しい……いくら……?」

「これ、電池式なんだけど、電池無くなったら、使えないわよ。こうしなさい——」

「……そうか」

 夕方、

「出来たわよ‼」

「おお……!」

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