上様の目的について
大坂城にて、
「オホン」
あの、女の人みたいな男の人に連れられて、大坂城で翔と再会した場所に来た私たちは、上様と呼ばれる人の前に来ている。
「えー、お主ら」
ドキドキ……何を言うのかしら?
「余の側室にならぬか?」
「「「はあっ⁉」」」
「側室にじゃ。待遇は保障する」
「待遇は、と言われても、私たちには家族がいるのに‼」
「そうよ。コンサートもあるのに、ここじゃ行けないでしょ」
「男の子の園とかあるの⁉ 小姓とか稚児とかの⁉」
「薫……」「薫ちゃん……」
上様って人は首をかしげて、
「やはり、無理かのう」
「当然よ」「当然です」
「せめて、猫の姉ぐらいはと、思ったのだが……」
「えー。美少年のにゃんにゃんとかは⁉」
そしたら、女の人みたいな男の人は、
「上様。猫の姉は猫曰く、腐っているとの事です。事実、私に対しても、奇妙な事を言っておりました」
「腐っていないわよー! 翔、何て事言うのよ」
「傍目はわからんが」
「宇喜多殿に対しても、色目を使ってい——」
「色目は使ってないわよ! 妄想しているだけよ‼」
「妄想?」
これ以上いると、大変な事になりそうなので、
「と、とにかく、私たちは側室にはなりません‼」
「帰るわよ!」
「帰るの。わかったわ」
「ああ、待つ——」
出て行く時、一瞬、どこかから嫌な雰囲気がした。
外に出た私たちは、
「えっと……出口は、どこかしら?」
私たちが出口を探していると、
「見つけたぞ! あれじゃ!」