救援にて
猫丸達が備前に行く前のある日、大坂城では、大友宗麟と関白藤原秀吉の会談が行われていた。
「どうじゃ? この城は?」
「見た事もない城ですね。三国一に相応しい城ですね」
「それで、用は何じゃ?」
大友宗麟は言いにくそうに、
「九州の事で……ですが」
「ほう、九州か。そういえば、島津は和睦する気は無い様だな」
「は、はい……その……」
「以前に救援の保証すると言ったが……」
「はい……それで……」
「救援を求めておるのじゃろう」
「お、お願いします! 是非、島津征伐の為、お力を‼」
「いいだろう。それには、順番があるが」
「か、忝い‼」
「うむ。全て、余に任せるのじゃ」
「はっ‼」
藤原秀吉は好色な顔で囁いた。
「ところで、汝は白拍子に興味がないか?」
「白拍子⁉ えっと……その……」
「余が知らぬと思ったか? 京で公家の娘を拉致して屋敷に監禁し辱めた。……それは一度や二度ではないじゃろう? 家臣の妻を無理矢理妾にして、その家臣は無実の罪で処刑し、離別した妻の女中頭を正室にした事を」
「うっ!」
「どうじゃ? 興味は?」
「……あります」
「なら、呼んできたぞ。——如月」
「はい」
二人の前に現れたのは白拍子の衣装を身に纏った如月だ。
「……‼」
「どうじゃ、一夜、好きにしては」
「で、ですが、私は吉利支丹、その様な事は……」
「出来ぬのか? 如月は、かなりの床上手じゃ。それに——」
「‼」
大友宗麟は、如月の顔を見た。
(あの上品で美しく、男すら知らぬ様な娘が、かなりの……)
大友宗麟は、少し考えてから、
「で、では、行きましょうか」
如月は優しく微笑んで、
「はい」