猫の怒り(前編)
夜中、
「煙草……」
「……」
バカ猫、顔、傷だらけだったな。
あの時は、
『似合っているぞ。バカ猫』
手当てをしてもらって、顔中に包帯を巻いている状態は、ミイラ男の様だったな。笑わせてもらったぞ。
『あのなー。——いてて』
とか言ったが、
「不愉快だ」
なぜ、こんなに不愉快なのかわからない。
バカ猫が殴られただけで、なんで不愉快なのかわからない。
その原因のあの男を見る事にした。
屋敷を見ると、
「まったく、仲良くって、馬鹿か。俺は、あの餓鬼を追放しないと気が済まないのに」
酒を飲んで、グチを言っているようだ。
「あんな怪物が、良い気になりやがって、あの餓鬼が公家なら、怪物は重臣気取りかぁ」
うるさいな。こいつはこいつで、しかもグチは続く、
「どうやって、あの怪物を殺そうか。人気の無い所か……それとも、食べ物で……どっちにせよ連中も連中で、怪物と仲良くしすぎだ」
酒を飲みながらのグチはまだまだ続いた。
「でも、怪物だけを殺すと、あの青猫も何をするか、わからないな。青猫と怪物を殺害して、何処かに隠した方がいいかもしれないな」
何だと?
「殺害した後は、どうやって追放するべきか? 秀吉が死ねば、あいつだけでは何も出来ないし、怪物らがいなくなったら、死ぬまで待って、それから行動を起こすか」
「……」
俺は少し離れる事にして、見た事によるモヤモヤを抑える事にした。
「…………」
不愉快は愉快にしなくてはいけない。
火の粉が降りかかる前に何とかしよう。
それには……。