表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
備前宰相の猫  作者: 山田忍
100/153

猫の一服

 さてと、屋根の上、一匹で吸う煙草は美味い!

 俺が煙草を吸っていると、

「キクラゲ、吸ってるの?」

「如月⁉」

 いきなり如月が現れて、俺の横に座った。

「ボクにも頂戴。違う時代のタバコを吸いたいの」

「……ほらよ」

 如月に煙草を一本投げると、さりげなく、

「ありがと。ライターも貸して」

「……ちっ」

 ライターも貸すと、如月は煙草を吸いながら、俺に話しかけてくる。

「ここでいつも吸っているんでしょ。知ってるよ。気が向いたら、一人で夜の町をうろついているからね」

「——何の用だ。如月」

「弥九郎様の屋敷に夜這いをしに行ったんだけど、追い出されちゃってね。それで散歩をしていたら、キクラゲが外でタバコを吸っているのを見かけたから来たの」

「そうか」

「あ~あ。退屈」

「これから先、お前は何をする気だ?」

 如月は煙草を捨てて、

「……別に、ボクはボクの好きに生きる。……それだけ」

「それだけで済めば、いいのだがな」

「さあ? わからないわよ」

 如月は屋根から塀に飛び移り、

「これからどうなっても、ボクは今を楽しませてもらうよ」

 今度は遠くに行き、

「じゃあね。キクラゲはキクラゲで好きにしたら」

 音も姿もなくなった。

「ふん」

 ——煙草は終わりか……不愉快だな。もう一本吸うぞ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ