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-4- アイツに関わると“死んでしまう”だとさ

 爽太と魔女が居るテーブルから離れた場所で、高校生の男女グループ(男子三人、女子三人)が広めのテーブルに、教科書やノートを広げて勉強をしていた。

 明日の期末テストに備えての勉強会が催していたのだ。


 そこへ男子学生が席に戻ってくると、開口一番。


「おいおい、向こうの席でスッゲー美人が居たぜ」


「マジで?」


 席に残っていた二人の男子が大きく反応する。


「しかも同席している相手が、ウチの高校のヤツなんだよ」


「え、どれどれ」


 席を立ったり、背を伸ばしては、美女が居る方向を伺う。

 周りに居る女子が「ちょっと、みんな」と静止を呼びかけるものの、自分も視線を奥の席へと移していた。


「おー本当だ。えらく美人だな……あれ? あれは、同じクラスの藤井じゃないか。なんで、アイツがあんなスッゲー美人と一緒に居るんだ?」


「彼女とか?」


 隣に座っていた女子が一般的な回答を述べるも、


「彼女? いや~、それは無いだろう。アイツ、人付き合いとか苦手そうだし。あんな、美人とお付き合いできる訳が無いよ」


「それは、偏見だろう。ああいうタイプがこっそりと付き合っている率が高いんじゃないのか? そうだ。同じクラスなら、ちょっと声をかけてこいよ」


「う、う~ん、それはちょっとな……」


 それほど仲が良い訳ではなく、ただのクラスメートとして知っているだけなので、気楽に呼びかけることが出来ずに及び腰になっていた。


 気付けばグループ全員が爽太の方……正しくは向かい席に座っている魔女の方を見ていた。


「しかし、なんであんな美人が、藤井なんかと一緒にいるんだ?」


「美人局か?」


「仮に彼女だとしたら、まだ期末テストも終わってないのに堂々とデートなんかしやがって! 許せね~!」


 日本人離れした顔立ちで、どこかの女性雑誌でフッションモデルをしていそうなタイプ。そんな美人が、クラスで特に目立たない根暗な爽太と一緒にいるのかと疑問に思っていた。


 ふと男子の一人が呟く。


「そういえば、アイツと中学が一緒だったヤツから聞いた話しだけど、アイツとは極力関わらない方がいいぜ」


「なんでだ?」


「アイツに関わると“死んでしまう”だとさ」


「なんだそれ?」


「アイツが小学生の時に、クラスメートの誰かが死ぬって言ったらしくてさ、そのクラスメートが本当に死んだらしいぜ」


「え、嘘! マジで?」


 周りのメンバーは信じられないと眉をしかめたり、渋い表情を浮かべたりする中、


「それって本当っ!」


 一人の女子だけは興味津々と身を乗り出して、強い反応を示した。


「そう言えば稀衣(まれい)って、その手のオカルト話しが好きだったわね」


 隣に居た女子が呆れたように呟き、稀衣と呼ばれた女子は少し照れ笑いを浮かべた。


「えへへ。好きというかね……少し興味があるだけだよ」


 そして稀衣は、遠く爽太の方を凝視したのだった。


(藤井くん……か)


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