-28- 一緒に行かない?
三度目の十二月。
マギナと共に稀衣を監査して、関与するようになっていた。
爽太は暇が有れば、稀衣の様子を伺いに行っては予見の為の情報収集するようにした。
そのお陰で、尾林稀衣について様々なことを知った。
好物は、チーズケーキ。
好きなマンガは、猫魂(ネコマタのネコが主人公を生き返らせるが、なぜかネコの魂と主人公の魂が合体してしまったお話)。
好きな色は、クリアブルー。だからスマートフォンの色も、その色だ。
他にも――尾林稀衣を知れば知るほど、予見が出来て、彼女が死んでしまう映像が見えた。
マギナと協力して回避していったが、一度きりではなかった。回避しても彼女が死ぬ映像が何度も見えるようにしてしまい、その度に回避し続けたが、失敗して、稀衣を死なせてしまった。
余儀なく過去に戻ってはやり直した。
過去に戻る度に――
稀衣を知る度に――
稀衣が死ぬ度に――
爽太の心に稀衣への想いが強くなっていた。
もう失敗を繰り返したくなかった。もう稀衣が死ぬ姿を見たくなかった。
何度も繰り返している内に、稀衣と関わる距離が短くなっていった。
マギナがこれまでの出来事を精査して、
「出来る限り尾林稀衣を一人にしない方が良いかもしれないわね。爽太が近くに居た方が予見できる可能性が高いからね」
と行き着いた。
マギナにそう言われたからだけでは、自分の意思で稀衣に会いたい気持ちが強くなっていた。世界の未来を救うのではなく、ただ単に稀衣を救いたいと。
休み時間に会うようになり、放課後には一緒に帰るようになり、二学期が終わり冬休みが始まっても、会うようにした。
そして――爽太は、
「あ、尾林さん。十二月二十四日の冬のファンタジー、一緒に行かない?」
稀衣にデートを誘ったのであった。




