第六話-新たなる祭殿
暑い夏はやはり素麺は欠かせないものですね。
極細の麺に歯ごたえの在る食感
素麺のつゆは昆布に鰹と煮干、そして干し椎茸は外せません。
つゆは出し6に薄口1と味醂1の配合ですが、煮詰めて冷蔵庫に
冷やして置くと作り置きも出来ますよ。
更に美味しくしたい時は、追い鰹が決め手になります。
ヤズリア湖の畔に、小さな町がある。
中立地帯の為、どちらの国にも組しては居ない町、しかしながら実は、この大陸を総括する冒険者ギルドの、本部なのである。
様々な部族や種族がここで入り混じり、ある時は交易、またある時は冒険の拠点として、活躍の場を繰り広げられる町である。
ヤズリアの町と呼ばれる。
※ギルドの概要
ギルドは大きく分けて技能ギルド、冒険者ギルド分かれている。
技能ギルドは大まかに、様々な個人の技術に合わせて、商売などを斡旋したり、技術を習得する場所だ。
但し学校のようなものは無い。
主に師弟関係で、技術の習得をするのが常である。
様々な品物の、商売の斡旋や土地の賃貸、労働者の斡旋などが主な業務となっている。
この技能ギルドから派生したものが、冒険者ギルドである。
冒険者となるには、このギルドでの登録が必要である。
また命のやり取りが起きる為に、誰でもがなれる訳ではない。
冒険者の仕事は、貴人や商人などの護衛任務や警護、魔物討伐や探索などである。
尚、冒険者には差別化を量るために、ランクなる称号が与えられる。
冒険者に成りたての者はEランクから始まり、D,Cへと昇格するものである。
力だけでは無く、人間性や賞罰により吟味されるのは、言うまでも無い。
まずこの冒険者に成る為には、試験がある。
罪があれば、それを清算しなくてはいけないし、技量が無ければ、技能ギルドへ行くか、個人で修業するしか道は無い。
ある意味、憧れの職業でもある冒険者は、自由で気ままな花形職業でもあるのだ。
それ故に年端も行かぬ者が、『なりまーす』と言って、なれるものでは無い事を、伝えておこう。
試験は年に二度ほど行なわれる。
実地と筆記試験が訳だが。
筆記試験は一次試験と二次試験があり、一次試験は公用語の読み書きだ。
読み書きが出来なければ、依頼の内容も判らないし、護衛などでは依頼者との意思疎通が、速やかに送れないからである。
これは各ギルド内ホールで、行なわれる。
筆記試験には一度合格すれば、二度目から試験は不要となり、講習が行なわれる。
講習は主に魔物の特徴や弱点、毒、罠などの危険物なものが、重点的に教え込まれる訳だ。
これを終えると、二次試験となる。
講習の内容の、再確認である試験だ。
命が関わっている為に、ギルドでも本腰を入れての冒険者育成、と言う意味合いが強いのである。
筆記試験にすべて合格すれば、実地試験だ。
主に各々の技量が試される訳であるが、試験管はギルドから依頼を受けた、冒険者の中から任命される。
現役冒険者達も、己の称号の昇進にもかかわる為に、無報酬でもやりたがる者が多いのだが、あくまでも、ギルドからの推挙が必要なわけである。
実技試験の内容は、試験管に任されるが、ギルドからも監査役が派遣される。
不正が無いか、また無理な試験内容が無いかと、検分するのである。
勿論これは言うまでも無く、試験管自身の試験でもあるのだが、知らされる事は無い。
何故なら、試験を受ける者の中に紛れ込むからである。
話を元に戻そう。
謎の声を追っていたラリーは、違和感を覚えていた。
多少の謝礼が貰えるからだと、灰色狼のグレイに言い聞かせながら、足音をなるべき立てずに、獣道を突き進んで行くのたが、心の不安感は拭えなかったのである。
辺りはもう、薄暮である。
牙狼族の民は聞き耳、夜目、嗅覚において、非常に優れた才能を持っている。
俊敏であり、そして勇敢な戦士でもあるのだ。
その彼が、何故か心許ない気持ちで、揺れているのである。
「いいか、無理はするな危険を感じたら、直ぐにもどるんじゃぞ」
「はい会頭、必ず戻って参ります」
草から、ギルド本部へと案内された、彼が出会ったのは、レジェンドたる漢であった。
そう彼は<ドメッサ=リューク=バレンティノ>、ギルド全体の総元締めである、会頭をしている。
ヒューマンではあるが、篤とした理念で、人種の差別も無く接する。
これがギルド全体の理念ともなっている。
権力を良しとしている訳では無いが、権力の必要性は、誰よりも深く理解している。
大国との狭間に立ち、中立を維持し続けられているのも、頷けるであろう。
ラリーは、相棒のグレイを連れ立って、急ぎ駆け出すのであった。
違和感の意味は、暫く突き進んでいると、唐突に訪れた。
今までに感じた事の無い、悪念、毒気、害意、邪心、異心の類が邪気となって、瘴気を漂わせていたのである。
更に先へ進もうとすると、突然何者かに、革鎧の裾を掴まれた。
いや、そうではない。掴まれたと言うより、行く手を阻まれたのである。
「ガルゥゥー」
低い唸り声を上げて、ラリーを差し止めていたのは、そうグレイである。
やはり己も、異常な精神に巻き込まれていたのか、ラリーは一呼吸で冷静さを取り戻す。
「わかったよ。グレイ」
と言い放つと、踵を返し町へと急ぎ、戻るのであった。
ゲルチョからの文を受け取ったのは、丁度そんな時であった。
バレンティノ会頭は、ラリーからの報告を受けると、しばし考えて次の行動に、移るのである。
「リュリュは居るかの?」
暫くすると、何かが窓を飛び出し、神殿のある方向へと向かっていった。
場所は戻り、ここ神殿内では、ゲルチョの草からの情報を、手早く仲間に説明をしていた。
「なるほどのぅ。ではここはグラッケン殿にお任せして、我々四人は・・・いや五人はそちらへ向かうのが、良かろうて」
シュリを見やりながら、アルデリヤは序言を下す。
「わしは兵を率いての、移動は不可能であるから、このまま神殿の守備をしながら、事の成り行きを見回ろう」
「
山を急ぎ下り魔装馬車で、ヤズリアの町へ急ぐとなると要する時は、いかほどでしょうかな?」
ゲルチョがゼイブスに尋ねている所に、大神官が勢いよく、突然扉を開き入ってきた。
「私なりに、思いを巡らせておりましたが、例の者どもの所業は、何らかの儀式かも知れません。」
前触れも無く、言葉を走らせる大神官に、一同はあっけに取られていたが、頭のネジを巻く様にして、それを甘受する様に聞き入った。
「実は、古い地図や文献を探って居りました所、何気無く壁画を眺めていると、ある絵に目が止まったのです」
ユームは羊皮紙に、石墨で写し出した壁画絵を、勢い良くテーブルに広げた。
※羊皮紙とは獣の皮を薄く、紙の様に延ばして、漂泊したものである。
「地図の様にも見えるんじゃな」
「左様、恐らくこれはこの神殿の出来る以前の、此の周辺の地図でございますな」
地図には、星と月に太陽も空に描かれているが、恐らく方位を示すものであろう。
魔物の簡易絵や複数の人物に、マーズ神やらがその壁画絵の写しに、書き表されている。
「おや?ここは」
アルデリヤがその壁画図の、ある一点に目を止めて、指でその部分を指した。
「はい、私も同じくこれを発見した時に、おや?と思いました。恐らくこれは、古い祭殿の後かと思われます」
皆が一斉に、その部分を覗き込む。
「古い文献に神話が御座いまして、そこにはマーズ神との契約を交わす時に、祭壇の話も出て参ります。ただそこは、この神殿では御座いません。こことは別な場所で、行われていたようです」
ユームは別な神官を呼び付け、現在の地図を持ってこさせると、両者を並べ照らし合わせ、その場所を現在の地図に当てはめる。
「山の八合目辺りか?マウントマーズ火口から真北にあるのか」
ゲルチョは手早く、自前の地図にその位置を書き込むと、事の顛末を伝えようと、一同に断りを入れ一旦外へ出るが、そこへ一羽の鳥獣が飛んできた。
鳥獣とは言っても、ふくろうの魔獣である。
グッフォと呼ばれるそのふくろうは、森の賢者とも呼ばれる程、その賢さは顕著である。
長寿であり、言葉を理解し、知識を埋蔵するのである。
時は旅人を助け、またある時は、忠告さえ行ったりもすると、言われている。
このグッフォだが、名は<リュリュ>と言う。
実は、ドメッサ=リューク=バレンティノの使い魔である。
リュークの名をいたく気に入っていた為、その名を分け与えられたのだ。
二人の出会いは、次に機会があれば聞かせよう。
「おぅリュリュか、おやっさんからの伝言だな。丁度良かった、こっちも伝えたい事があったぜ」
「ホうか、会頭からゲルペスへの伝言を伝えるホ。マーズ山で怪しい瘴気が漂ってるホ。冒険者のラリーを向かわせるホで、合流してこれを探れホ」
「おう!それは好都合だ。で?合流地点は」
「ラリーは北へ向かったホ。お前も北へ向かうが良いホ。向うから見つけてくれるホ」
「判った、今から向かうぜ。 おやっさんへの文を頼むわ、こっちで判った事が書いてある。」
ゲルチョはリュリュの足に付文をすると、すぐさま飛び去っていった。
「さて、話は煮詰まった」
ゲルチョは急ぎ早に神殿内へと戻り、情報を開示すると、五人を取りまとめて北上する事にした。
一行は手早く身支度を整えると、神殿を後に山へ入る事にする。
「さぁ!行こうぜ」
その時だった。後方の神殿から、騒がしい声が聞こえる。
「巫女主様おいでてはなりませぬ!人前に顕されるのは許されざる振る舞いです!」
「マユラ様のお引止めを!!」
巫女の中で特に大きな力を持つこの娘は、名を<マユラ>と言う。
直接マーズ神から、啓示を受ける事の出来る唯一無二の存在で、<巫女主>とも呼ばれ、外界との接触は許されていない。
のはずである・・・
「なんじゃ、この騒ぎは?」
「皆様方、神殿の方は見てはなりませぬ。さぁこちらを」
見送りに出ていたユームは、「ハッ」と焦りの顔を見せると、一同の顔を神殿とは逆の方向へと、向けさせるた。
そうして、こちらへ向かって、走って来るお付の巫女を見据えると、話を待った。
「実は、巫女主様から皆様方へ仲立ちを入れずに、祝福をと申しておりまして」
「ふぬ、皆様方申し訳御座いませぬが、そのままの位置で、お待ち願え致します。ちと、話を聞いて参りますゆえ」
ユームはそう言うと、足早に神殿内へと戻って行った。
暫くすると大神官が、何やら絹であろう。上等の袱紗を手に持ち、戻ってきた。
「皆様方、大変お待たせ致し、申し訳御座いません。先ほど申し上げた通り、巫女主様からの面談の希望が御座いましたが、神殿の掟によって、巫女主様の外界の民への御お顕しは、禁じられております。代わりに、これを預かって参りましたので、お渡し致します」
大神官は袱紗から、羊皮紙に描かれた護符を差し出した。
「これはかたじけない。有難く頂戴致しますぞ」
本来は、巫女主にお礼告をげなければとの、感情を抑えながら、大神官に深深く頭を下げ、一行は出立したのである。
途中、出来たばかりの砦を通り、グラッケンに軽い挨拶を交わすと、山道を進んでいく。
道がだんだん険しくなるのを見ると、ゼイブスはシュリに背負子を用意させた。
「アルデリヤ様、お輿とは行きませんが、こちらへお乗り下さいませ」
「ほぅ、すまんのぉ」
アルデリアが背負子に座ると、シュリは軽々持ち上げて、歩みを進めて行く。
もう既にどっぷり日が落ち、おぼろ雲がかかった夜空に、月が薄っすらと辺りを照らしている。
いよいよ神殿へと到着した一行は、新たな情報を掴みます。
不穏な空模様と怪しげな瘴気
険しい戦いが待っているのでしょうか。