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The Meaningful World -戦う料理人ー   作者: むねよし 勘
デェアボロデビデ(七慢)
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第五話-いざ神殿へ

最近 この太陽系以外にも 同じ様な太陽系の惑星が発見されました。


地球より少し大きめの、水の惑星らしいです。


正にこの世界に似ていますね。


ちょっとだけ、先取りした気分でした。

 この時期のパゲリア大陸は丁度初夏である。


温暖で四季のあるこの国は、とても居心地が良いようである。


明朝、慌しく宿で朝食を取ると、一行は山を登る下準備を整えた。


朝市で食料や備品を補充すると、街の詰め所でゲルチョと合流し、詰め所で出発の手続きだ。


手続きを終えると、厩と隣接の屋根付きの場所へと、向かう。


馬車はここで預ける事になる。


1日500アーノで預かるが、預ける時には保証金も、必要である。


何日滞在するかを答え、料金は勿論先払い。


保証金は出発時に、料金を差し引いて返金されのだ。



手続きが終わり、場所預かり所でシュリが、馬と魔装馬車を用意する。


『さぁ、出発だ』



ここから神殿へ行くには、マーズ山の麓にある関所に、行く事になる。


ここに関所が設けられているのは、無断で山に入る事を、堅く禁じている為である。


我々は領主であるセコンダ公爵から、入山許可書なるものを頂いている。




魔装馬車で三時間程行くと、関所が見える。ポリアーノの兵も、ちらほら居る様だ。


関所で馬を預けると、ここから神殿までは山道である。


さほど険しくは無いように見えるが。



一行は入山手続きを終え、山へ入った。



「なぁゲルチョ、おまえは普段足が遅いが、この山道じゃ早いな」


「けっ!ほっとけ、サリ」  (たて)師は、えてして足が遅いものである。




途中石碑が見られるが、かなりの魔力を帯びているようだ。


ふと、エマ(剣闘士)が山道脇に立ってある、四角い石柱を指差して


「これが結界の(くさび)なのか?」と聞いている。



アルデリヤ(賢者)も歩みを緩めそれを見ると、エマに答えてくれた。 


「そうじゃ、これは外周結界じゃの。闇の魔物だけは出す訳にいかんからのぉ。普通の者には害は無いがの」


一行は休憩を挟みながら、続く山道をしばらく歩いていく。






三時間程登った所、ゲルチョが口を開く。


「そろそろだぜ!」 


前方を指差している。




そこには、玲瓏(れいろう)たる、神殿が(そび)え立っていた。

 

ここパゲリアの民は、山の神であるマーズを祭っている。


岩窟であるマーズ神殿は、岩盤をくり貫くように作られており、正面に四本の柱が見える。


炎の神であるマーズを模したロゴも、掘り込まれているようだ。

 

至ってシンプルな作りではあるが、この建物にはかなり強力な、結界が張られている。


恐らく、マーズ神の庇護の元であるからなのであろう。


更に右奥には山肌から、水が流れて滝を作っている。


小鳥たちのさえずりや、あちらこちらで聞こえてくる。


小動物の鳴く声も聞かれる。


きっと妖精でも住んでいるんだろう。



入り口には衛兵がいる。


すると、中からグラッケン(将軍)が、神官らを伴って出てきた。


「これはこれは皆様、この難儀な場所へ遥遥(はるばる)ご足労、有難うございます。私、当神殿の神官の長をしております 、<グレディ=ユーム=マーズ> と申します」


大神官(グレディ=ユーム)は深深く頭を下げ、挨拶をする。




中へ入るには(みそぎ)が必要だ。




一行は近くにある泉へと、御付の巫女に案内された。


巫女 「これをお召しになってお清め下さいませ」


一行は白装束に着替えると、それぞれ泉に入っていった。


我々の前で、御付の巫女が事前に、説明をする。 


「本来神殿内へは帯刀、魔法具の類は禁止されておりますが、今回は特例措置が講じられております。なにぶん警戒中での事と存じております故、こたびは不問との事です。」


巫女は出来れば魔法を使うことの無いように、と釘を刺すと着替え小屋へ案内した。


「ではお召し物をお着替えの後ご案内致します」


簡単な清めの儀式を終えると、一同は殿内へと入っていった。


大きな広間へ入ると、そこには簡単な食事の準備がなされていた。


実の無いスープと茹でた野菜に、オリーブと塩を振っただけの、温かいサラダ、それに黒パンであった。


それぞれ自然の味って所か、神殿の神官や巫女達は、基本的に肉食は厳禁なのである。


しかしながら、あくまでも生々しくない、簡単に言えば血の出ない物である。


そんな訳で、夕食には加工した燻製肉や魚料理も出る。


食卓を見たゲルチョはすかさず、サリー(魔導師)の横の席に着くと、せっつきながら


「おい!肉持ってんだろぉ 出せ出せ」と催促している。


サリーは渋々袋から、カプラッテ(乳山羊)の大振りなソーセージを2本取り出して渡したが、それを見


て羨ましそうな顔をしている、グラッケン(将軍)エマ(剣闘士)にもそれぞれ渡す羽目なった。




※この国では牧羊も盛んでチーズやミルク、バターは主にこの、カプラッテ(乳山羊)から作られる。

肉質の良い部位は市場に出回るが、頬や手足、尻尾などの部位利用価値の乏しい部分は、ケーシングとして腸に詰められる。

ひき肉にして香辛料と混ぜ併せて、ソーセージやウインナーにし、詰め込むのである。

家庭では主に茹でて食べられるが、日持ちするように燻製にして、旅先などの携帯食としても利用されている。




食事の終った後、一行はこれまでの経緯と、これから起こるであろう、出来事を話し合った。


グラッケン(大将軍)は王都との連絡事項や、守備隊形をかいつまんで話している。


「此方は最悪にも対処出来る様に、山を切り開いて、防護柵や堅固な砦を築いておる。万がいつ街への流入が起こった場合も、|グラダナ公爵との連携も考えて、通信網も確立済みだ」


恐らく、寝る間も惜しんでの事であろう。少し精神的に疲れている様だ。


頻繁に神官の仲立ちが入り、兵士達の指揮を執っている。


その時扉を開けて巫女が入ってきた。 


「先ほど王都から伝書鳩が参りました」


と急ぎ文をグラッケン(将軍)に渡した。


王都(ポリアーノ)で待機していたはずの、神官の一人が行方不明になっているとの事です」


アルデリヤ(賢者)はふと思い立って、大神官(グレディ=ユーム)に問いただした。


「近々こちらで、みそぎが行われるという事を、誰かご存知か?」


「認証の儀ですかな?ここ神殿ではそのような事は、一般には行なわれておりませぬ。基本的には、街や村の教会で行うのが常識ですぞ?」


※<神殿>では神を司り様々な啓示を神託されたり、それに伴う儀式や契約を行なう場所である。


国家間とは政治不介入であるが為、全く切り離されて入るが庇護(ひご)は勿論ある。


方や同じマーズ神を(あが)めるが、<教会>ではその教義や信仰を広めるのが、生業である為、似ていて比なるものである。


また多くの民を救うと言う教義により、孤児(みなしご)や怪我人の保護等も国の庇護(ひご)の元、国の福利厚生システムの一部も担っている。


「ところで巫女殿、その神官の名は何と申す者だ?」


「それがユーム(大神官)様、誰もその者の名前を存じ上げないのです。王都へは巫女一名と神官二名

が派遣されましたが、現在そのうちの一名が、消息不明なのだそうです」


「何っ?王都へは、二名しか遣わしておらぬぞ?これはどうしたものか」


「そやつが黒幕やもしれぬな。探すすべは、無いものかのぉ?」


アルデリヤはゲルチョを見やったが、その前にゲルチョはすかさず、行動を移した。


「直ぐに手のものに調べさせよう」と足早に神殿を出て行った。


「わしは街道筋に当たりを付けさせよう」


グラッケン(将軍)も部下を呼びつけ捜索に入るようだ。


「ところでユーム(大神官)殿、恐らくその逃亡中の男、が例の一件も踏まえて、黒幕だと考えてみるとじゃ。 その一味が使っていたとされる葉巻に、魔法薬が使われておったんじゃが、何か心当たりは無いであろうかのぉ?」


アルデリヤ(賢者)は木の箱から、半分に折った葉巻を皮布に巻いて、大神官に手渡した。


ユーム(大神官)は急ぎ他の神官に渡すと、早急に調べるように言伝をしている。


「当神殿での魔法薬は、ご存知かどうかは知りませぬが、儀式や祭儀に使われております。但し、この様に葉巻で吸引するものではなく、香炉で香と焚き込むのです。魔法薬でトランス状態を起こす訳ではなく、マーズ神の神託や、儀式の為の精神力を、高ぶらせる為なのですよ。」


「ほぉ、なるほどのぉ とすると常習性は低いと、見るのが妥当な線じゃの」


とすれば別物か?


ユーム(大神官)殿、その魔法薬はこちらで、栽培しておるのか?」


「はい、物が物でありますが故に、厳重な場所で専門職でやらせておりますが、公には非公開で、場所もお教えする事が、出来ませぬ」


「結界で守られている・・とか?」    


左様(さよう)にて・・・」


『我々にも口を閉ざすか』・・・納得せざるを得ないようだ。




しばらくすると、ゲルチョ(ギルド長)グラッケン(将軍)が戻ってきた。


そこへ先ほどユーム(大神官)から、調査を任されてた神官が、息を切らせて戻ってきた。


ユーム(大神官)様、先ほどの葉巻に含まれていた物の、成分分析が終りました。」


神官は周りを見渡し、大神官へと顔を向けながら、報告を済ませる。


「申し上げます。試薬を試した所、砂漠に生息するジャコバサボテンの、毒素が検出されました。他にも

甘草など数種の生薬が、配合されている様ですが、見慣れない成分もある様ですし、引き続き検分中との事です」


「うむ、ご苦労 下がってよい」


神官が部屋から下がるのを見ながら、ユーム(大神官)アルデリヤ(賢者)に報告書を見せながら、呟いた。


「やはり当殿より漏れ出たもの(魔法薬)とは、違うようですな」


「そうじゃな、甘草等の薬草は効能強化であったか、とすれば、かなり詳しい者が絡んでおるであろう。薬師の類じゃろ」


辺りはもう夕方である。先ほどまでそこそこ晴れていた青空が、何やらいつの間にか薄い墨を流した様な、おぼろ雲が広がっている。


夕食には、魚料理とチーズが付いていたが、グラッケン(将軍)は量がどうせ足りぬから、と部下達と野営で済ますらしい。

 

夕食が済み、ゲルチョの(・・)から情報が入った。


「ヤズリアの町で、怪しい声が聞こえると言うのですが・・・」


「怪しい声?どんなんだ?」


「いえ。それが・・・我々には何も聞こえないのです」


「なんじゃ?それじゃ怪しいかどうかも、わからんじゃないか!」


「えぇでも獣人の・・・いや冒険者ですがね、こいつらは聞き取れるって言うんでさぁ」




内容を詳しくゲルチョ(ギルド長)は問いただすと次の内容であった。




『選ばれし崇高なものよ。汝らはこの世の玉嚢(ぎょくのう)である。栄華を(ほっ)する者に我の力を授けん。さぁ神の前へ集え 』




「で他の者にはこの声がが聞こえ無え、って言うのか?その獣人とは?」


「へぇ、それが牙狼族の者ですが、そいつが連れていた狼が教えてくれたそうで、その牙狼の耳でも、ほとんど良く聞き取れなかったらしいですぜ」


「しかしなぁ、そいつの幻聴とか嘘って事も、あるんじゃねぇのか?」


「へぇ それでそいつにその声を辿るよう、頼んだんでさ。すると途中でガキとすれ違って、聞くとそいつにも同じ様に、声が聞こえるって言うんですよ」


「そのガキも獣人だってのかい?」


「いえいえ、それがヒューマンです。でもそいつにゃぁ、はっきりと聞き取れるっていうんでさぁ」


「うーん、で?その冒険者」


「へい ラリーって奴で、会頭の元へ案内しやした。で、引き続き声を辿って貰ってます。何かわかったら町に戻る様に言ってますんで、それから、あっしの代わりのもんをヤズリアへ急行させてます。」


「そうか、いい情報だったぜ。おやっさん(ギルド会頭)から連絡が?」


「へぃ 情報があれば、何かあると思いやす」


「そうか、ご苦労だったな」


ゲルチョ(ギルド長)は急いで神殿内へと戻り、皆に伝えなければ、と思った。







ここマウントマーズは活火山なんですが、温泉もあるようです。


夏の温泉も意外と、開放的で良かったりします。


今年も台風が早い時期から、発生していますね。


早めの対処をお願いします。

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