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The Meaningful World -戦う料理人ー   作者: むねよし 勘
デェアボロデビデ(七慢)
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《第一章》 第一話-異変

いよいよ本編が始まります。

大陸の異変から始まるこの章は、ストーリーの他にこの国の概要や、

様々な仕組みを知るようになります。

ではこの世界をお楽しみ下さい。

 あの日は混沌とした日であったことは覚えておる。


「わしの名はゼイブス 様々な魔道具を造ることを生業(なりわい)としておるものじゃ」 


空は漆黒に染まり大気には霧が立ちこめ、あちらこちらには雷鳴が轟いている・・・


そんな日じゃった。


 

 三日前に遡る


その日 王都ナポリアーノに呼び出されたのは

 

 三賢者の一人とも呼ばれる 

《アルデリヤ=ソマリアーノ》


【彼は老練ながらその秀たる存在と知略は、その存在を無二の者とした。

長老の中の長老とも言われる。

ハーフエルフで、その才は長寿に生かされ(よわい)150とも言われる。

銀髪で長い顎鬚(あごひげ)が特徴である】



質実剛健の大将軍と言われ、王国の忠臣である 

《グラッケン=マキュラテス》


【彼は若干35にして大将軍の名を得る。武勇だけではなくその長けた軍略で、他国からの侵略をも退却させた実績を誇る。

髪は茶色で顎髭を綺麗に整えており、鍛えられたその鋼の肉体は、まるでローマ時代の石像の様である。

特注で作られた幅広の大剣を背中にしょってはいるが、普段はソードブレーカーの二刀流である】


 

 希代の大魔道師と噂される

《サリー=マルチネ》


【若くして魔法の才に恵まれはしたが、プラレス(平民)の生まれで出世の目は無く冒険者としてその活路を目指していたが、活躍目覚しく全属性の魔法を操る。

30代で王宮魔導師の名を手にした】



灼眼の舞姫との異名を持つ彼女は剣闘士の

《エマ=バーグマン》


【ヒューマンと他種族のハーフと言われるが その剣の才は大将軍をも凌駕(りょうが)するとも噂される。

年齢不詳で噂だが、先々代の王から仕えていると言われている。

将軍の一人ではあるが、名声を好まない為、名誉職で王の直属扱いになっている。

赤毛で普段は茶色の瞳だが気が昂ぶると灼眼(しゃくがん)となる】



 そして魔道具制作者であり、人形師であるわしだ。  

名は《ゼイブス=グランナート》という。


【商人の次男に生まれ魔術にも秀でていたが、探究心が強く歴史に興味を持ち、

常に新しいものを求め国を巡る。

探検発掘を重ねるうち、資金調達の為に自作の魔導具を作り、売り歩いていたが

その技は、次第に洗練されていく。

この国の技術の(ほとん)どは、この者が作り出したものが多い。

後の主人公の父親代わりとなる彼は、髪は茶色で白髪混じり顎鬚を蓄えている。

年齢54】




この五名が勇士として選定されたのだ。


何故わしが選ばれたかと言うと、人形師であるとともに、さまざまな魔道具を

作り出していたせいじゃろか。


わしは技術の粋を集めたオートマタである《シュリ》を連れ、城へ馳せ参じた。


この国の南西にある領地ゼイブス島から魔装船を走らせ、ホステイート港から更に街道を魔装馬車を走らせた。






王城へ着くと、案内の騎士から元老院へと案内されて、会議室へと向かう。


「従者の方はこちらへどうぞ」 



シュリ(オートマタ)は別室待機じゃな」


「かしこまりました。主人マスター」と頭を軽く下げ別室へと移っていく。



元老院の会議室へ向かうと、既に主だった行政官は召集され、


軍事官も揃っていた。


メイド達も居ず、テーブルのお茶は近衛兵が代わり、給仕している。


周りは緊迫の様相で、各々囁(おのおの ささや)いている。



長いテーブルの上座であろう場所に豪華な椅子があり、恰幅(かっぷく)の良い体格である。


上品そうな衣服を見に纏まとい、豪勢な椅子に鎮座している。


この男がこのポリアーノ国の主である。


威厳のある畏怖堂々(いふどうどう)とした立ち振る舞いは、さながら宮殿の彫像のようである。



その名をロベルト=マクベレン=ポリアーノと言い、50代そこそこに見える


その顔立ちに、亜麻色(あまいろ)の少し癖のあるあご髭を撫でながら、王は口を開いた。


※亜麻色とは、金髪の艶の余り無い色目の事である。





「これで皆の者が揃ったようじゃな。実は霊山の神殿の巫女から、火急の知らせが入った。」


「これ、巫女殿たちをこれへ」


「はっ」、近衛兵が一人の巫女と神官二名を連れて入ってくる。


「まずは巫女殿から話をして頂くのが良かろう」


王は巫女へと視線を送ると、そう呼びかけた。


実はこの巫女、ロベルト王の次女で名をマルシア=マクベレン=ポリアーノ

と言う。


王の血筋や優れた資質を持つ少女は、神殿へ赴き、巫女としてのお役目を

務めるのが慣例である。


巫女の責務期間は役12年である。


その後晴れて自由となり、婚姻したり一般社会へと戻るのである。


特例として巫女を終えても、神殿へ残る事は出来る。


後進の育成や、神殿の業務などがそれに当たる訳だ。


また国へと立ち返り、教会へと進む者もいる。




彼女も慣例に見習って八歳から修行に入り、この年七年目を迎えている。



「まずは皆様にご挨拶申し上げます。マーズ神殿が巫女の一人、マルシアと申します。本日は女神マーズ様から、巫女主様へのご神託をこちらに賜るよう、

大神官様からの思し召しです」


 


巫女主とは、巫女の中でも特別な力を持つ者である。


誰がその者なのかそして、の名も概して知らされてはいない。


それ故外界で、そのお姿を見ることは叶わないのである。



マルシア(巫女)は軽く頭を下げると続けて口を開いた。


「陛下は既にご承知でございますが、皆様にお伝え致したく存じます。

実は五日ほど前に、地の女神マーズ様よりご信託が下されました」



「天の陰と陽が互いに惹かれあう時、闇が覆い、デァボロデビデ(七慢)達が現れ、力を得ようとするであろう。そして、人々の世を混沌とみちびくであろう。と」



ゼイブス(人形師) 「それはどう言う意味かの?」


マルシア(巫女) 「それを確かめに参りました」



ロベルト王は一つ咳払いをすると「既に知らせを受けた時点で大賢者アルデリヤ殿に調べて戴いておる」


古文書を前にアルデリヤ賢者は、苦悶の表情を浮かべている。 


「ふむ・・・時間が無く、元老院の方々にも手分けして書庫を調べ尽くしたが、

まずは判ったことからじゃが」


『七慢』とは   



1・瞋慢(しんまん)怒り 

2・貧慢(とんまん)物欲に走る 

3・慢過慢(まんかまん)傲慢(ごうまん)で他人を低く見る 

4・癡慢(ぎまん)疑り深い 

5・退慢(たいまん) 何事も思い通りにする悪意 

6・卑慢(ひまん)人を騙し貶おとしめる 

7・邪慢(じゃまん)自己中心 


アルデリヤは天を仰ぎ見ながら、呻く様に声を発する。



「得ようとする力がいまいち・・・のぅ 」


エマ剣闘士は大賢者に尋ねる。 


「それは巫女殿や、神官殿達のお力では無いのか?」


「可能性としては十分じゃて」




続いて詩の説明に入る。 


「ふむ 『天の陰陽』とは、恐らく月と太陽の事じゃろう。占星術師に調べて貰ったが、間違いは無い。互いに惹かれあうとはいまいち読めんが、『闇が覆う』となると空では無い様じゃの。恐らく、蝕と考えると闇との合点が行くのじゃがな。とにかく特殊な事例であるだろうと言っておった」


「それに月蝕の時は、闇の魔物達もより強くなるじゃろうしのぉ」


訝しげ気に王はつぶやく。



サリー(魔導師)は一つ頷いて、口を開いた。 


「恐らくだけど、神殿は神山マーズの麓だし、その周辺で事が起こりそうだな、マーズ山の樹海には強力な魔物も多いはずだしね」



ここまで成り行きを見守っていた大将軍(グラッケン)は、席を立ち王に向ってこう進言する。


「陛下! わしの兵、三千を伴って神殿へ先行して参ります。つきましては、

王都の魔装馬車をお貸し戴きたく存じます!」

 



『手は早めに打たねばならぬの』



「ふむ あい解った! タジェウド(執政官)よ 早急に図れ。グラッケン大将軍も準備があろう。知らせがあれば、随時文を飛ばす故、直ちに参るが良い」



「はっ! 仰せのままに」 


タジェウドも続いて膝を付き、王に告げる。


「わたくしも食料や雑品を調達し、応援の手配に参ります」


ゼイブスは他の者と一言三言、言葉を交わすと席を立ちながら。


「陛下、我々四人はわしの馬車で参ります。新たなことが解ったらお知らせくだされ」



『うむ』と頷くと、ロベルト王は周りを見回しながら、声高々に発した。


「では皆のもの頼んだぞ!これより王都には戒厳令を敷く、

各部署はこれに備えるように」


「ははぁっ!!」





挿絵(By みてみん)

《この大陸の概要》


マウントマーズ山は、このパンゲリア大陸のほぼ中央に接する活火山である。古代パゲリアは、今から約3000年前ほどに王朝として成立した。


初代国王パゲリアは、

当時大陸全体を魔物達に脅かされ、各地の部族集めこれを懐柔する事に成功する。


一極集中にて、平地のほぼすべての魔物達を駆逐、マウントマーズ中域に

神殿を置き、監視する事と麓の街ノスタルジに防衛線としての砦を築き、

魔物の生域範囲を抑えることを成し遂げた。


この功績により、パンゲリアは王として君臨し、名をパンゲリア=ポリアーノと改め、王都を築き初代国王となる。


そして砦であったノスタルジに国を興し、これを起源に年代がパンゲリア暦と

制定されたのである。


時代は進み、パンゲリア暦2573年 元々多民族であった東部の民族運動が勃発、王族と貴族だけで、政治の実権を担っていた当時の国王、元老院を糾弾、

暴動へと発展する。


国王はこれを憂い、弟を代理王として残すと、少数の部下だけを引き連れ、話し合いだけでこれを解決。


同時に、元老院と民衆から選抜される代議院を設け、二院制として

政治の改革に乗り出した。


国王は弟に国を譲り、内政を執務するが、これを機に元首に推挙される。

この為、国は二分されマウントマーズとヤズリア湖の間に、国境線が引かれた。


争いで国分けが成されたのでは無いので、現在でも両国は友好状態にある。


尚、マウントマーズとヤズリア湖周辺地域は、不可侵地帯で中立地帯と

なっている。


 現在はパンゲリア暦2869年


通貨は地域共通で、アーノ通貨が使われ

各レートは次の通りである。

金貨   10000アーノ

銀貨 大 2000アーノ

   中 1000アーノ

   小  500アーノ

銅貨 大  10アーノ

   小   1アーノ


※1アーノはこちらのレートで円に換算すると10円程度の価値です。

 


主要産業

パゲリア大陸は温暖な気候で四季がある。


西パゲリアは鉱山を多く持ち、様々な鉱石を有する。


北部に広大な砂漠があり、ほとんどが未開の地である。


南部では牧羊が盛んで、羊毛やその乳製品が生産されている。


王都ポリアーノでは様々や工業用品や工芸品が作られ、一大産業都市となっている。


政治は王政で次の通りである


国王ロベルト=ポリアーノ

元老院(王の助言機関、長老の集まり)

行政 執政官 政務官 財務官 財務官 軍事官 (陸、海、空)憲兵隊 


東パゲリアは港が多く貿易が活発である。


ヤズリア湖北東部には、広大な田園地帯があり、麦や米が生産され同時に牧畜も盛んだ。


南東部では塩田地域が広がり、大陸の80%がここで供給される。


コルベット共和国政は、各地の部族の長が集まって国を司っている。

 


政治体系は次の通りである。


元老院と代議士(市民から選抜される)の二院制である。

元首(国の代表)

行政 首相、内務官 外務官 法務官 防衛官 (陸、海、空)憲兵隊


尚、憲兵隊は警察機関のようなもので、カラビニとよばれている。

 


王に呼ばれた五勇士は、二手に分かれてこのお告げの謎を解き、解決に向かう事になります。 果たして出るのは・・・次回古都ノスタルジの街です。

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