めんどくさがり屋は浮遊する
だるい、だる過ぎる
山口美優は全力で現実逃避したい思いに駆られる。
昼休みに入ると仲の良い友達は美術の課題があるとかなんとか、どこかにいってしまった。
クラス替えを行って1ヶ月、早くも女子ではグループができあがっている。
座学4教科をなんとか受け終えた私には、他のグループに混ざる気力も体力も残っていない。
ついさっきまで修学旅行の行動班分け
つまりは、いかに自分の好きな男子と修学旅行をエンジョイするかで冷戦状態に突入したばかりだ。
全力で関わりたくない
とりあえず教室内で話す相手もいなくなったよでフラフラしてみたり。
なんせ私は学校ではキチガイキャラなのだ。
私が静かなんぞあり得ない、だそうだ。
テンションが低い=不機嫌という短絡的な先入観を持っている残念な方達がいるおかげでちょっとでも静かにしてると、
「美優怒ってるの?こわぁーい」
なんてありがたいお言葉を頂いてしまうわけである。
無駄に学年での知名度が高い私なのだ。
へんな噂でも流されたらたまったもんじゃない。
誰かに無駄絡みしにいこー
と近くの教室に入ってみる。
声変わりが終わった奴、まだまだ始まりそうもない奴、いろんな人の声が一気に聞こえてきた。
聞こえてきた、というのは語弊があるのかもしれない。正しくは私に向かってある男子の名前を叫んでくる。
自分の表情筋が一気に引き攣るを感じた。
私の知名度を良くも悪くも上げた奴ら。
奴らは私にどんな反応をして欲しいのだろうか。
真っ赤になって恥ずかしそうに否定すれば
この事態は収まるのだろうか、
いや、もう奴らは何をいっても無駄なのだ。
全力で無視するに限る。
まるで聞こえてないかのようにやり過ごし
友達の元に行く。
我が友よ。苦笑いしないでくれ
困っているのはこっちなのだ?助けてくれ。
一度騒ぎ始めた男子を女子が止められるわけもなく
静まるのを待つしかない。めんどくさい、めんどくさ過ぎる。
授業5分前になったので教室を出ようとしたそのとき




