--- はじまり ---
明るい朝日を迎えながら、絶望的な気分でジュデッカ城を見上げた。
ねえちゃんはいったいどうしているんだろう?
ほとんど寝ないで一緒に待っていてくれたアレイさんが隣に来てポツリと呟いた。
「すぐにジュデッカ城へ行くぞ。嫌な予感がする」
唇をひき結んで深く頷いた。
すごくすごく嫌な予感がした。
今まで感じたことのないくらいの不安感は過去のフラッシュバックのときの感覚に似ている。
馬を準備しているアレイさんを待つ間に震えそうになった肩をアレイさんがぎゅっと抱きとめてくれてとてもほっとした。
漠然とした不安をやわらげたくて、手綱を握るアレイさんの胸にしがみついた。
それでも消えない不安がこの先の困難の大きさを物語っているようだった。
震え出しそうになる度にアレイさんに頼った。それを全部受け止めてくれたのがとても嬉しかった――アレイさんが一緒にいてくれてよかった。
一緒にいてくれることが本当に嬉しかった。
何か大きな歯車が動き出そうとしていた。
幸せな日々と日常が音を立てて遠ざかっていく。ゆっくりと何かが崩壊していく。まるでこれまでの平和な日々が嘘だったみたいに。
きっとそれはもう止められないこと――それは心のどこかで分かっていた気がする。
それでもいつかまた日常に戻ってくる。
それだけを信じて目の前のジュデッカ城を見上げた。




