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唯一の友
アンナ、今、ここにおまえがいてくれたなら。
この胸の苦しみを打ち明けることができるのに。
おまえならきっと、どうすれば良いのか教えてくれるだろう。
あるいは、気の迷いだと明るく笑い飛ばすだろうか。
アンナ、おまえも、こんな苦しみを抱えていたのか?
恋人を想うとき、これほどに胸が痛んだのか?
いや、おまえはいつも幸せそうだった。
では、私の胸の痛みには、別の原因があるのか。
どうすれば、この病は治る?
助けておくれ、私の唯一の友人よ。
もし、あの気のいい黒髪の侍女が聞いたなら、三度は卒倒しただろう。
だが、たしかにセシルは、彼女を友人だと思っていた。