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第8話 小テスト

 

「ノートありがとう。かなり助かったよ」


 佐藤さんが来てすぐにノートを返す

 本当にこのノートには助けられた…小テストをやることがわかったから…

 佐藤さんはノートを受け取るとカバンの中に入れて、席に座る


「お礼したいんだけど、ジュースでいいかな?」

「い、いいよ。お礼なんて」

「あ、そうなの?何でもするよ?」

「智樹、おはよう」

「お、清水。はよ」

「さ、佐藤もおはよう」

「うん、おはよう」


 相変わらず清水は佐藤さんの前じゃオドオドしてる

 佐藤さんもこれを見て清水から好かれているなんて思わないんだろうか…

 しばらくオドオドしている清水を見ていると少しイタズラ心が湧いてきた


「なぁ、清水はどうしてここにいるんだ?お前の席は廊下側だろ?」

「あ、ああ。そうだけど…」

「だけど?」

「いや、ちょっと用が…」

「へぇ、俺に?佐藤さんに?」

「えっと、智樹に」

「俺にか。何の用だ?ここでは話しにくいことか?」

「い、いや…えっと…」


 面白い…

 オドオドしている清水がなんだか面白い…

 笑いがこみ上げてきて吹きそうになったが、これ以上苛めるのもかわいそうなので苛めるのをやめることにした


「そうだ、清水。今日古典の小テストするらしいぞ」

「え?あ、そうなの?」

「ああ、佐藤さんのノートに書いてあったんだよ」

「そ、そうなんだ…」

「見せてもらえば?本当に見やすいよ、佐藤さんのノート」


 ニヤニヤしながら言うと、清水は顔を少し赤くしてあたふたし出した

 佐藤さんも佐藤さんで少し困ったような顔をして、苦笑いをしている

 ちょっとやりすぎたみたいだ

 どうやってこの雰囲気を崩そうかと思っているとちょうど横に千鶴が帰ってきた


「千鶴、今日小テストだってさ」

「え、そうなの?やばいなぁどの授業?」

「古典」

「古典かぁ…理数系ならイケるんだけどなぁ」

「俺は余裕だな」

「智は古い本とか読んでるもんね。なんだっけ…あの…宇宙の電車のやつ」

「銀河鉄道の夜か?あれそんな古くないぞ?」

「古いよ。意味分からない文だし」

「お前、宮沢賢二に謝れ」

「それより、私にテスト範囲を教えなさい」


 千鶴は俺のノートを取り上げて、中身を見ていく

 佐藤さんと清水は俺たちの方を見ながら意味が分からない様子だ

 そりゃまぁつい最近出会った俺らがこんな仲のいい感じを出せば戸惑うだろう


「昔から知り合いなんだよ。俺と千鶴は」

「もう長いよね~」

「そ、そうなんだ。智と木島さんってもしかして…」

「付き合ってないぞ?なぁ?」

「うん。智は異性として見てないしタイプじゃない。だから、佐藤さんも本気で智のこと狙っちゃいなよ」

「え?え?」

「お前、佐藤さん困らせんなよ…。佐藤さん、こいつの言うこと気にしなくていいから」


 俺は千鶴の頭を軽く叩いて、カバンの中から小説を出して、読み始める

 これ以上この雰囲気で行くのはなんかめんどくさい

 俺が本を読み始めると清水も自分の席に戻っていく

 横の千鶴は俺のノートをまだ見ていて、少しでもテストの点を上げるために頑張っていた



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