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第5話 特技はノート写し?

 

「ちょっと!なんなのよもうぉ」


 俺の横の席にいる千鶴が俺に向かって顔を赤くしながら文句を言いだした


「なんなのよぉじゃねぇよ。帰りたきゃ帰ればいいだろ、誰も待ってろなんて言ってないんだから」

「こんな美少女が待ってあげてるのに何その言い方!」

「どこに美少女が…なぁどこにいるんだ?千鶴」


 俺は周りをキョロキョロとしてみるが、俺と千鶴しか教室にいない

 俺たちは、というか、俺は放課後を使って佐藤さんから借りたノートを必死で写している最中だ

 ノートは明日返してもいいことになってるんだけど、家に帰ったら俺はやらないだろうから放課後を使って写している

 そして、俺の横にいる千鶴は何故かまだ居座っていて、俺のノート写し作業を妨害してきたりする


「あんたの目腐ってんじゃないの?」

「俺の目が腐ってたら、お前の脳は溶けてる」

「あぁぁ!!!なんかムカついてきた!」

「何1人でムカついてきてんだよ……よし、古典終了。あとは~…英語だけだな」

「ねぇ~智、早く帰ろうよ~。暗くなってきたって」

「暗くなってきたって、お前ん家って門限でもあんの?」

「無いよ。彼氏が待ってるんだよ」

「彼氏可哀そうすぎるだろ…」

「いいのいいの。向こうが一方的に会いたいって言ってきてんだから。あ、ちょっとごめん」


 千鶴は電話が来たのか、携帯を取り出し、そのままカバンの中に仕舞う


「いいのか?」

「最近しつこいんだよね。やっぱ年上はメンドクサイや」

「自分の身体を大切にな」

「大丈夫、エッチはさせてないから」

「別にお前の性体験に興味は無い」

「したい?私と」


 俺の顔から数センチ近くまでニヤニヤした千鶴の顔が近づいてきて、俺が頭を動かせばキスができる距離まで近づく


「誰がお前なんかとするか」

「あは、別に心配しなくていいんだよ?私、リードしてあげるし」

「残念だ、俺はリードされるよりリードしたいんよ」

「あ、もしかして変態さん?」

「お前よりは普通だ」


 俺も負けずにニコニコしながら千鶴を見ると、千鶴は俺から離れて自分の席に戻った


「あ~ぁ、昔はこれやったら大抵オドオドしてたのになぁ」

「残念ながら俺も成長したの」

「可愛さが無くなった智は見たくなっかったなぁ」

「それより、千鶴は本当に帰らなくていいのか?あと英語だけだから俺は家でやってもいいけど」

「いいよいいよ。どうせ別れるつもりだし」

「そっか。いい加減、ちゃんとした恋しないのか?」

「ん~、今は好きな人いないんだもん。智のこと好きだけどそういうのじゃないしさ」

「ふ~ん…」

「あ、もしかして私のこと好きだったりした?」

「いや、一緒にいたら楽しいけど付き合いたいとは思わないな。兄妹みたいな感覚」

「んだね~。まぁ私がお姉さんだけど」

「冗談キツいわ…。よし、んじゃ帰るか」

「あ、家でやれるの?」

「頑張ってみるよ。ほら、さっさと帰るぞ」

「うぃ~」


 俺と千鶴は教室から出て、校門まで歩く

 学校から駅まではたくさんの生徒がいて、部活もちょうど終わっていたみたいだ

 俺たちは駅に向かって歩いていると後ろから頭を叩かれた


「お、智樹。どうしたんだ?こんな時間に。それに木島さんと一緒で」

「こんにちわ。神門くん」

「こんにちわ、木島さん」


 千鶴は一瞬で猫を被って、笑顔で宗太に挨拶をする

 宗太もその笑顔にまだ騙されているのかだらしなく顔が崩れた


「で、何か用か?宗太」

「いや、珍しく智樹がこんな時間に帰ってたからとりあえず声かけただけだけど…本当に木島さんは可愛いね」

「そんなこと言っても何も出ませんよ?神門君」

「あはは、できればお茶したいな」

「千鶴、もうその演技面白くない。宗太も気付いてるくせにこいつに合わせるな」

「こら、智。バラすな」

「そうだぞ。木島さんの演技は少し変だけど良い線いってるよ?」

「うわ、神門くん今酷いこと言ってるよ…私、傷ついちゃった…」


 千鶴は宗太から顔を反らし、手を目に当て、泣いている動作をした

 そして、宗太もそのノリに付き合って慌てた風に俺の方を見てきた


「ど、どうしよ。俺、木島さん泣かせちまった」

「ウザい……千鶴、しばらくこいつの相手してて。俺は先に帰ってるから」

「あ、待ってよ。私も帰るって」

「んじゃ俺は智樹の家に行こっと」

「来んな。宗太はご自慢のリムジンで帰ってろ」

「まぁまぁそう言わずにさ。木島さんもどう?」

「私は~、そうだね。久々に智の家に行こうかな」

「彼氏のとこ行けよ…」

「あ、木島さんは彼氏いるんだ…ちょっとショックかも」

「大丈夫だよ。仮の段階だから、本格的には付き合ってないよ」

「あ、そうなの?智樹、俺、木島さんの彼氏に立候補していいか?」

「勝手にしてろ…」


 俺はため息を吐きながら、後ろで盛り上がっている2人を置いていくように駅に入って行った




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