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第41話 宗太から清水へ

 

 人というのは凄いものだ

 あり得ない状況に立てば自分の良いように解釈してしまう

 その例がこいつだろう


「智樹、木島さんは今日も綺麗だな」

「宗太…目が笑って無いぞ」


 昨日の出来事があってまだ自分の中で認められていないらしい

 しかし、千鶴は隼人と仲直りしてから前まで学校で付けていた仮面が少し剥がれて自然な笑顔ができている

 それほど隼人の影響が大きいんだろう


「俺が言うのもなんだけど、隼人はマジでカッコいい奴だぞ?お前以上にバカだけど」

「…どうカッコいいんだよ?」

「例えば、駅で子供がホームから落ちたのを助けたり、歩道橋でお爺ちゃんが困ってるのをすぐに助けたり、木のぼりが超得意だったり…あとは~あの顔だったから女子に人気だったあいつが教室の前で突然、千鶴に告白したみたいな?」

「クラスの人気者って…木島さんは…」

「隼人は特別だ、あいつも色々苦労してるから千鶴のこともちゃんと理解してる。千鶴も隼人の苦労を理解できる。お前と隼人の違いはそこだな」

「…苦労って」

「言うわけ無いだろ。あいつも俺も千鶴もここにいるほとんどの人とは違う人間だよ。理解されるとは思って無い。だから、俺たちは普通の人より仮面を深く被ってんの。それが自分を守る術だと分かってるから

だから、宗太みたいな人は俺らの憧れでもある。お前みたいに仮面も付けず素の自分のままで人と接しられるお前をな」

「…………」


 久しぶりに褒めてあげたのに宗太は何かを考えているのかじーっと千鶴の方を見る

 宗太の性格上、千鶴の事はまだ諦められない気もするし、どこか諦めの付いたような気もする

 俺は笑っている千鶴と宗太を見比べながら、この恋は終わったなぁと思い、清水の恋を真剣に応援しようと思った





「清水、お前はヘタレだ!」


 放課後、清水を呼び止めてそう言った

 すると清水はいきなり俺がそんなことを言うもんだから何がなんだが理解できていないらしい


「恋なんてもんは自分から迫らないと何も始まらない。だから、明日話かけろ」

「で、でも…」

「でも…とか関係ない。とりあえず、明日佐藤さんに話かけろ。そうじゃなきゃ俺も協力できない。あと俺よりも参考になる奴いるけど、そいつに相談してみるか?」

「え?」

「大丈夫、この学校の奴じゃないよ。もちろん秘密もちゃんと守れる」

「そ、それなら…お願いしてもいいかな」

「わかった。んじゃ今日家に行こう」


 俺はカバンを持って教室を出て、駅に向かう

 そして、家のドアを開けてバカを呼ぶ


「ニートいるかぁ?」

「ニートちゃうわ!」

「なぜ関西弁?」

「俺、実は関西人やねん。知らなかっただろ?」

「あ~…はいはい。1つ聞きたいことあるんだけどいいか?」

「なんやねん」

「この子には好きな人がいます。でも、話かけられません。どうすればいいですか?」


 清水を前に出して、隼人に見せると隼人は顎に手を置きながら「ん~」と悩んですぐに答えを出してきた


「クラス一緒なら普通に話せばいいんじゃね?」

「話せないから聞いてんだよ」

「あ~そっか。んじゃ、好き好きオーラ出しとけばいいんじゃね?俺が中学の時なんて四六時中出しまくってたよな?」

「あ~…そうだな…」


 そういえば、千鶴はクラスで目立たないようにしていたのに横に常に隼人が居て、傍から見てもわかるぐらい好き好きオーラを出していた

 だから、千鶴はいじめに遭いかけたんだ


「あ~、でもすぐに気が付いてあげないとだめだぞ?イジメとかに発展しやすいから」


 隼人は清水にアドバイスをしているけど、清水は隼人ほどクラスの女子にモテていない

 俺は清水にこんな奴を紹介したことを申し訳なく思いながら隼人のアドバイスが終わるのを待ち続けた





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