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第3話 編入生

 

 小説を読んでからしばらくすると次々と教室の中にクラスメイトが入ってくる

 久しぶりに会った生徒たちは春休み何をしたとか、こうだったとか色々楽しそうに話していた


「おいす~、祠堂」

「…だれだっけ?」

「新学期早々痛い言葉だぜ…祠堂」


 俺の目の前でメンドクサいリアクションをしてるのは同じ進学組の堀井ほりい すすむ

 別に嫌いってわけじゃないんだけど、話すのがメンドクサイ人だ

 俺は適当に話を終わらせて、もう一度小説に目を戻そうとすると前の席に人が座ったのを感じた


「あ、おはよう。佐藤さん」

「おはよう。祠堂くん」


 目がクリっとしていて、中々可愛い分野に入るんだけど、前髪でその眼は隠れていて、なおかつ、男子相手にはあまりしゃべらない・笑わない子だから、男子にからすると面白くないし、目立たないし、地味な子だ

 でも、清水の好きな子だったりする


「あ、この小説ありがとう。結構面白かった」


 俺はカバンの中から佐藤さんに借りた小説を出し、前に渡す

 佐藤さんは本を受け取ってカバンの中に入れて少しだけ笑い、女の子達の和に入って行く

 俺は時間を見て、あと5分くらいで朝のHRが始まるため、小説をカバンの中に直し、今から来る編入生にメールを打つ


 そして、5分ぐらい経つと先生が入ってきた


「はい、今日は普通組から編入生がいます。入って」


 先生は淡々と進めていき、ドアから千鶴が入ってくる

 千鶴は朝とは違い、ばっちりメイクも完成させ、可愛い笑顔を振りまきながら先生の横に立ち、頭を下げ自己紹介をする


「はじめまして、普通組から進学組にさせてもらった木島 千鶴って言います。

 進学組については色々と分からない所もありますが、仲良くしてください」


 千鶴はそれはもう完璧な笑顔で言い終わると、その笑顔に騙された生徒たちは千鶴をもう同じクラスメイトと認めたみたいで拍手が嵐のようになる

 その中を俺は1人、千鶴のあの笑顔の奥に秘められている意味を思いながら時間な過ぎていくのを待つ


 千鶴は俺の横に座ることになり、笑顔のまま席に座る

 そして、先生はそれを確認するとHRを終わらせて、教室から出て行く

 すると、一斉にクラスメイトたちが千鶴の所に集まってきた


「ねぇ、木島さんはどうしてこっちに来たの?」

「木島さんはどこから来たの?」

「やばい、俺と付き合わない?俺、宗太って言うんだけど」


 などなど、ちなみに最後はバカの言うことだから千鶴も無視した

 俺は騒がしい空間から離れるために、教室を出て3階の階段近くにある窓を開けて、外を眺める

 俺たち進学組の教室がある校舎は他の組とは離れている

 そして、3階はほとんど使うことが無いため、全然人がいない上に、ここから見える景色は結構おススメスポットだ

 遠くの方に海と山が見え、近くには野原がある。これ以上良い場所は無いだろう

 春の風で伸び始めた草がサササっと波を打つように揺れていて、落ち付かせてくれる


 俺はしばらく外を眺めていると、階段を上がってくる人の気配を感じ、そっちの方を見ると佐藤さんが上がってきていた

 佐藤さんは俺と目が合うと少し頬を赤らめて、軽く頭を下げて俺の後ろを通って行く


 3階には教室は無いけどトイレがある。

 たぶん、誰もいないと思ってここまで来たのに俺が居たからビックリしたんだろう

 それに女の子ならトイレに行く前なんて見られたくないだろうし、特に佐藤さんはそうだろう


 俺は佐藤さんが帰ってくる前に教室に戻ると、まだ千鶴はクラスメイトに囲まれていた

 千鶴はなんとか笑顔を振りまいているけど、そのうち普段のあいつに戻るだろう


 俺は自分の席に宗太が座っていたので、軽く頭を叩いて退かし、イヤホンを付けて腕を枕にして眠ることにした




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