第20話 ママさんバレー
「疲れた…」
2回試合をやって、1勝1敗
意外や意外に良い勝負をしてしまった
今は女子がバレーのネットを張り、コートを使っていて、俺たちはその間で休憩をしている
俺はステージに座って、女子のバレーを見ていると宗太が話かけてきた
「智樹、木島さんってバレーうまいよな」
「ん?あ~…経験者だからな」
「へぇ~。部活で?」
「いや、ママさんバレー」
「ママさんバレー?」
「運動不足を解消するために地区の奥さま方が趣味みたいな感じでやるんだよ。
まぁ本格的にしている所もあるんだけどな」
「へぇ~。だから木島さんは上手いのか。智樹もそういうなのやってたのか?」
「なんで?」
「いや、めちゃくちゃバスケ上手いから、そういうママさんバスケみたいなのあるのかなぁって」
「んなのねぇよ。俺は中学までやってた」
まぁ色々あって2年の時にやめてしまったんだけど…
俺は背伸びをすると、背中をポキポキと鳴る
宗太もこれ以上聞いても何も言わないことを悟ったのか、別のところへ向かう
しばらく時間が経ち、女子のバレーも終わると男子の体育教師と女子の体育教師が何やら話して、一緒にステージ近くまで来た
「これから男女混合でバレーの試合をするから、9人組を作ってくれ。
チームは自由にしていいから。はい、始め」
それだけ言うと俺たち生徒は一斉に自分と組みたい人の所へ向かう
「智~組も~」
「あぃよ」
「智樹~俺も入れてくれ」
「宗太、人数オーバーだ」
「まだ2人だろ!」
「はぁ…しょうがないなぁ…」
「あ、理紗ちゃんも入ろ~」
腕に絡みついてくる宗太を退かしながらため息を吐いていると千鶴が端の方でキョロキョロしている佐藤さんを呼ぶ
そして、ちょうど清水も俺たちの所へ来た
「あ~清水も入るか?」
「うん」
「これで5人か…宗太、あと4人ぐらい適当に集めてきて」
「おぅ。任せろ!」
宗太は元気よく走っていき、ニコニコしながら何人か呼んでいく
こんな時は宗太みたいなキャラがいて助かる
俺はボケーっと人数が集まるのを待っていると千鶴が俺の横に座った
「智がバスケしてる所見たの久しぶりだな~。もうやらないと思ってた」
「…授業なら仕方ないし」
「ふ~ん。もったいないよね~ものすご~く上手いのに」
「別に…俺は普通に楽しめたらいいだけだから」
「そっか。それじゃ次の試合は楽しもう」
「バレーだけどな」
「一緒一緒、ボール使うんだし。あ、神門くん戻ってきた」
「智樹、集めてきたぞ」
「お疲れ」
宗太の後ろには女の子がドキドキしたような感じで居て、俺とか清水とかどうでもいいような感じで宗太だけを見ていた