第2話 新学期!
今日は新学期だ
今年から俺は2年生になるんだけど、特に変わり映えはしない
俺はいつも通りの時間に家を出て、電車に乗る
周りには他校の学生が乗っていたり、仕事に向かうサラリーマンが乗っていたりしているけど、席はまだスカスカに空いている
俺は適当に座って、イヤホンを付けて学校までの40分間寝ることにした
「……ぃ……ぉ~ぃ…」
しばらくしていると前で何かが動いているのを感じる
俺はなんとなく予想が付くけど、念のために少し目を開けると前で千鶴が俺の顔を覗き込んでいた
千鶴は俺が起きたことに気が付いたのか、ニコ~と笑って何か話している感じだ
でも、俺はイヤホンを付けているから何を言っているかよく分からない
俺はじーっと千鶴を見ていると、千鶴は何を勘違いしたのか顔を赤く染め始めた
それでも俺はじーっと千鶴を見ていると、千鶴は俺のイヤホンを思いっきり引っ張って取り、頭を叩かれた
「ってぇ…何すんだ、おい」
「人がせっかく声かけてるのに無視するな」
「別に掛けてほしいとか思ってないし、それにお前、さっきなんで赤くなったの?」
「そりゃ智に見つめられたから…」
「何?俺に惚れてるわけ?」
「調子乗んなよ?智のくせに」
千鶴は思いっきり俺を睨みつけてきた
せっかく可愛い顔が台無し…
「可愛い顔が台無しだよ?千鶴さん」
「智に言われてもキュンと来ないから不思議だよね」
「俺もお前にカッコいいって言われてもなんとも思わないから不思議だよな」
「私、智のことカッコいいなんて言ったこと無いんだけど…」
千鶴は容赦なく俺を傷つけてくる…
別に悪気は無いだろうし、昔からこうだから俺も馴れたけど…
「傷ついたわぁ…俺」
「それよりも進学組ってどんな人達がいるの?
噂通り、みんな硬い人ばっか?」
「硬いねぇ…まぁ自分で確かめてみれば」
「そだねぇ、それが一番手っ取り早いね」
千鶴はそう言うと俺の横に座る
俺はこれ以上話が続かないと思って、イヤホンを付ける
それからまた少し時間が経ち、ようやく俺たちの学校がある高城学園前に着いた
俺と千鶴は駅から少し歩き、高城学園の中に入る
「あ、私は職員室に来るようにって言われてるから行くね」
「あぃよ。行って来い」
靴箱で俺と千鶴は分かれて、俺は進学組の教室に向かう
「はよ、智樹」
「宗太か…おはよ」
教室の中に入ると神門 宗太が話かけてきた
こいつは進学組では珍しい少し…いやかなり頭が残念な奴だ
よく普通組に行かされないなぁと思う
「知ってるか?今日、女の子の編入生が来るらしいぞ?」
「あぁ…俺知り合いだから興味ない」
「可愛いのか?」
「さぁね~。可愛いじゃないかな」
「おぉ!マジか!もしかして、あの理紗より可愛いのかな?」
「理紗?あ~佐藤さんのことね。てか、そんなこと言ってると清水が来るぞ?」
「おはよう、智樹に宗太」
「あ、清水」
俺と宗太が話していると、清水 将が相変わらず何が入っているのか分からない重そうなカバンを持って教室の中に入ってきた
「宗太がお前の事バカにしてたぞ」
「僕のことを?」
「ああ、清水が」
「智樹!宿題見せてくれないか?ほら、早く」
「お、おい…」
宗太は慌てて俺の腕を掴み、宗太の席へと連れて行かれる
そういえば、清水に佐藤のことは禁句だっけか…
てか、春休みに宿題は無かったはずだけど…
「清水はまだ気付かれてないとか思ってんだからな」
「あれで?」
「あれで。たぶん気付いてないの清水と理紗ぐらいだろ」
「へぇ…あいつも大変だな」
「たぶん、そのうち相談されるだろうから受けてやれよ」
「俺、恋愛経験無いんだけど…」
「あいつが俺に相談してくると思うか?」
「まぁ無いわな。女ったらしのお前には」
「モテる男は辛いぜ」
「リア厨シネ」
とりあえず、宗太の頭をカバンで叩いてから自分の席へと向かう
宗太はさっきも言ってた通りモテる
顔も中々カッコいいこともあるし、家系もお金持ちってこともあるだろう。でも一番の原因はたぶんあのキャラ
普段はバカな癖に、進学組では珍しくテニス部に入っていて真面目に練習をしてたりする
うちの学校のテニス部は強くないが、宗太は中学の時からそれなりに有名で結構強いらしい
1年の時になんでクラブ組に行かなかったんだ?と質問したことがあったが、答えはクラブ組には女子が少ないから
要するに、女好きのバカだ。なんでそんなバカがモテるのか不思議だけど、恋する女の子にはこのバカの本当の姿は見えないんだろう…
俺は席に着くと、カバンの中から小説を取り出し、時間を潰した