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第17話 撃退完了!

 

 もう一生パフェは食べないと思う…


 俺はやっとの思いでパフェを完食した

 まぁ途中でなんかと回復してもらった千鶴・佐藤さんに手伝ってもらったんだけど


「はぁぁぁ…もう俺帰っていいかな…」


 胃の中はすでに気持ち悪い

 さっきもトイレに行って来たんだけど…まぁ汚いからこれ以上は止めておこう…


 俺は机に伏せながら、顔だけあげて周りを見る

 清水はすでに家に帰っていて、前で佐藤さんは横にいる千鶴に勉強を教えていて、俺の横にいる宗太はまだパフェダメージがあるのか死んでいた


「あれぐらいで気持ち悪くなるなんて、智も弱すぎるよ」

「お前、本気で飛ばすぞ…」

「気を付けて、理紗ちゃん。これが智の正体だよ」

「はぁぁ…もういいや…しばらく寝てるから帰るんなら起こして。

 佐藤さん、まかせっきりにしてごめん」


 俺は少しでもこの気持ち悪さから逃れるために夢の世界へと旅立つ



 俺の目の前にいるのは、俺がまだ7歳ぐらいだろうか…

 小さな男の子が前にいる両親の話を聞いているのか聞いてないのかよく分からない表情で一応聞いているみたいだ


「智樹、今から話すことをよ~く聞いてくれ」

「ママとパパはこれから離婚するの。離婚の意味は分かる?」


 今より少し若い母さんが小さな俺に対して、優しい口調で言う

 でも、小さな俺は「離婚」という言葉の重大さを分かってないのかオレンジジュースを飲みながら頷いた


「それでね、智樹。智樹は今からパパとママ、どっちと一緒に住みたい?」


 母さんは真剣に小さな俺に対して質問している

 横の父さんも真剣な顔をしながら小さな俺を見ていて、俺の前にいる小さなの俺はストローから口を離し、少し考えて言葉を発した


「パパでいいよ。だってママはパパとは違う人と一緒に住むんでしょ?

 僕がいたら邪魔になっちゃうよ」


 ………うん。我ながら恐ろしいことを言ってたな…

 前にいる母さんも父さんもビックリしたような顔をしながら、お互い顔を見合わせた

 そして、しばらく2人はアイコンタクトをして、俺の方を向き、俺は父さんと一緒に住むことが決まった

 でも、母さんとは今でも週2ペースで会う。父さんは仕事上1ヶ月に1回、家に帰って来るか来ないかの状態だから、母さんは今からでも一緒に住もうと言っているけど…

 俺は小さな自分を見ながら、この時の判断は間違ってなかったんだなぁと思っていると周りの方が騒がしくなってきた


「…で………だ………ね…」

「ち……だ……よ……」

「い……だ……」


 周りの騒がしさに夢の世界から遠ざけられて行く

 そして、現実に戻って目を開けると千鶴と佐藤さんが俺の前に居て、俺の携帯らしきものをいじっている


「ふぁぁぁ~…何、人の携帯見てんの?」

「あ、こ、これは違うの!」


 声を出すと、佐藤さんがものすっごく慌てたように手を顔の前でブンブン振っている

 一方、千鶴は俺のことなんて気にしていないのか俺の携帯をイジッている

 別に携帯をいじられるのは良いんだけど…佐藤さん、そんな慌てなくても…


 俺は千鶴から俺の携帯を取り上げて何触られたか確認する

 とりあえず、何もいじられていないみたいだ


「んで?なんで千鶴は俺の携帯で遊んでたの?」

「この前言ってたじゃん。通話料が半端ないって」

「だから?」

「誰と電話してんのかなぁって。理紗ちゃんが言ってた」

「…お前、見え透いた嘘吐いてんじゃねぇ」

「嘘だと言われれば嘘だけど、真実と言われれば真実だよ

 というか、なんだか理子って人とよく話してるけど…誰?私知らない」

「お前は俺の母親か。なんで一々教えないといけない」

「あらっ、反抗期だわ」


 千鶴は口に手を置いて「まぁまぁ」と何度も言いながら、佐藤さんの肩を叩く

 そして、すぐに俺の方を見てきて「理子」についてしつこく質問してきた


「で、理子って誰?彼女?許嫁?」

「違う。俺の母さんの妹さんだよ」

「お母さんの妹さん…?智ってお母さん居たっけ?」

「いるわ、ボケ。一緒に住んでないだけだ」

「ふ~ん。お父さんはいたよね?私見たこと無いけど」

「全然帰って来ないよ。どっかでまた写真でも撮ってんじゃね?」


 これは真実だ

 2~3ヶ月前ぐらいからあんま帰って来なくなったし、時々配達便で汚い服が大量に寄こされる


「うわぁ…智の家庭悲惨だね…」


 なんか俺以上に悲惨な奴に悲惨って言われた…

 俺は言い返す気にもなれず、ため息を吐いて横で死んでいる宗太を蘇生(頭を若干本気で叩く)すると見事蘇生した


「何すんだ!ごらぁ!!」

「もう18時だ。帰っていいか?」

「は?……うぉ!もうこんな時間!」

「帰っていいか?」

「全然勉強できてないけど…いいよ」

「あぃよ。んじゃ俺は帰るから」


 俺は立ち上がって、伝票を少し見る

 19000円……、ファミレスで19000円って……

 なんとなく、宗太に悪い気がしてきて、財布から2000円を出し、千鶴では無く佐藤さんに渡す


「ごめん。これ佐藤さんが帰る時に宗太に渡してあげて」

「え?」

「俺からって別に言わなくても良いから」


 それだけ言って俺はファミレスを出る

 外はまだ明るいけどあと30分もすれば一気に暗くなるだろう

 そうなれば宗太が千鶴も佐藤さんも送るだろうから安心だ


 俺は少しずつ暗くなっていく空を眺めながら歩いて家に向かった

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