第15話 テスト勉強!
USJに遊びに行ってからもうかなりの時間が経って、梅雨が近づいてきた
そして、梅雨=中間テストという学生にとって、悪の1週間が始まる
もし、これで赤点を取れば、1ヶ月先にある天国という名の夏休みという夏は無くなり、地獄の夏休みに変わる
まぁ進学組の生徒でこの中間テストで地獄の夏休みを味わうことが確定する奴は滅多にいないのだが…
「智ぉ~…ヤバいよ…」
「智樹~ここ教えてくれ」
地獄の夏休みを味わう最有力候補の千鶴と宗太はファミレスの中で嘆いている
俺はジュースをストローで吸いながら、涼しいファミレスの中を充実に過ごしていた
「お前ら、人の勉強時間使わせて、こんな簡単な問題教えてとか言ってくんな。自分で調べろ」
「理数系教えてあげるからぁ…智ぉ」
「理数系って苦手だけど赤点取らないからいらん。ほら、さっさと自分で解け」
「智樹、誰の金でこのテーブルに乗ってるピザやグラタンやジュースを食っている!」
「宗太の金だな。でも、これはお前が勝手に頼んで食べていいって言ったから食ってるだけで、借りを作られた覚えはない」
「うはっ、ひでぇ。極悪人だな!」
「はいはい。さっさと解いとけ」
俺はピザを取って口に運び、携帯を触る
これ以上、ここにいたら俺までバカになりそうだ…
俺は助っ人にメールを打つ
「智、誰にメールしてんの?」
「清水。あいつならここの近くだし、丁寧に教えてくれるだろ」
「あ、じゃあ理紗ちゃんも呼んでよ」
「佐藤さんか?……俺メルアド知らん」
「え、あれだけ仲良さそうにしてながら?」
「仲よさそうにって、たまにノート写させてもらったりするだけだろ」
「んじゃ私が理紗ちゃんのメルアド教えてあげるよ」
「別にいいよ。相手が教えたくないかもしれないんだから」
「それじゃ私が呼ぼっと」
千鶴は携帯を出して、ボタンを凄い速さで打ち、パタンと閉じた
俺の方は清水からメールが返ってきて、すぐ来るというメール来る
まぁ当然だろう
だって、メールの内容が「ご飯食べ放題。ジュース飲み放題。宗太がなんでも奢ってくれるから清水の家の近くのファミレス来ない?あと佐藤さんも来るらしい」だもん。
最後の一言がよく効いてくれた
俺はポテトを注文して、しばらくしてポテトが届く
すでに俺だけの注文で3000円は超えてるだろうか…
まぁ宗太が悩み続けている間は、俺も気にせず食べ続けるつもりだけど
「あ、理紗ちゃん。こっちこっち」
ポテトに手を伸ばしていると千鶴が手を上げる
俺は千鶴の目線の先を見るとパフ袖の白Tシャツに小花柄キャミワンピースを着た佐藤さんが俺たちに気付いてこっちに来る
なんというか…いつもの制服姿の佐藤さんしか見たことが無かったら可愛く感じてしまった
いや、別にいつもの佐藤さんが可愛くないとかそういうのじゃないんだけど…
「こんにちわ、佐藤さん」
「あ、こんにちわ」
とりあえず、俺は奥に座って佐藤さんの座る場所を作る
それにしても…いつもと違う佐藤さんを見てると今日の俺の服装はヤバいんじゃないだろうか…
どうせ千鶴と宗太だけだと思って、上はユニクロの黒のTシャツ、下は古着屋で500円で買った七分丈パンツという超手抜きファッションだ
俺はそんなことを考えながらポテトに手を伸ばす
「あ、佐藤さん。適当に食べたいモノ頼んでいいよ。お金は全部宗太が払うから」
「え?でも…」
「大丈夫、大丈夫。勉強教えるバイト代だと思えば良いから」
佐藤さんは困ったような顔をしながら千鶴の方を見ると千鶴は頷いて、パフェを頼んでいい?と宗太に言う
そして、宗太は満面の笑みで頷いて、千鶴は店員にコソコソっと何か注文を言った
「あ~佐藤さん」
「?」
「これからとんでもないの来るから、頑張ってね」
「え?」
佐藤さんはよく分からないような顔をしながら、俺と千鶴の顔を見る
まぁあと少し待てば俺のちょっと憂鬱な顔の意味が分かるんだけど…
俺はストローでジュースを飲んで、戦闘の前のトイレ休憩に向かった