第14話 バッグドラフトのがたっって落ちるやつはビビる。
ぜんっぜん楽しめなかった…
USJにあるアトラクションの映画の中でもTOP5に入るぐらい好きなバックドラフトなのに楽しめなかった…
両サイドに清水と堀井が立ち、佐藤さん…も含めて千鶴、他の女子が近づけないオーラを放っていた
俺は別に女の子を取ったりしないのに…というか、宗太の方が危険だろうって思うけど、何故か俺が警戒されていた
「宗太…、俺帰っていいか?」
「え、もうか?」
「ああ。もうしんどい…」
「ん~…まぁいいんじゃないか?俺はまだ遊んでいくけど」
「んじゃ帰らせてもらうわ。…千鶴、お前も来い」
「え?」
「智樹、なんで木島さんも一緒なんだよ」
宗太は少しムッとした顔で俺との間を詰めてくる
周りのクラスメイトの女子達は「キャッ」みたいな感じで勝手な想像を膨らませていて、清水と堀井は少し安心したような顔をする
そして、千鶴はビックリしたような顔で俺の方を見ていた
「なんでって、俺帰り道知らないし」
「携帯で調べろよ。俺は木島さんとまだ遊びたいんだよ」
「また今度な。ほら、アホ千鶴行くぞ」
「ちょ、ちょっと。智」
「おい、智樹」
俺は千鶴の首根っこを掴んで、USJの出口の方へ歩いていく
千鶴は後ろで「離せぇぇ」と喚いているけど無視して歩く
そして、USJの外に出て、電車に乗ると千鶴は静かになった
「…本当に帰るの?」
「アレ以上は無理だろ、お前」
「大丈夫だよ」
「バックドラフトもがっちり目瞑っておいて、何言ってんだ」
「あ、気付いてたんだ」
「火が苦手な奴が本物の火が出るアトラクション入んな」
「だって、皆行くって…」
「はぁ…まぁ別に良いけど。とにかく今日は家に帰って寝て忘れろ」
「………智はいつも優しいね」
「女の子には優しくなんだろ?」
「あはは、そうだね。……でも智は優し過ぎるよ」
「惚れたか?」
「ううん。全然」
「即答すんな」
千鶴は笑顔で俺の方を見て、すぐに俯く
それからは俺も千鶴も黙って、見立町へと帰っていった