001-02
「だからぁ、そうなったら、魁はまたワタシの言うとおりにすればいいのよ。それ
に慣れちゃってと、ワタシは言っているわけ」
「ン~‥‥」
「お腹が減ったら食べるでしょ、呼吸をするのも同じだわ。生きていくのに必要な
ことに慣れるのに、嫌も何もないんじゃない?」
「でも、お腹が凄く減っててもバナナとメロンは絶対に食べないよ。小ナスの辛子
漬けなんか、死んでも食べない、食べたら死んじゃうよ逆にっ。ボクが言ってるの
は、たぶんそんなカンジのことなんだ」
「死んじゃうなんて言葉を軽軽しく口に出さないのっ。怒っちゃうんだからぁ」
「もう怒ってるじゃないかぁ」
「悲しさをブツケているのっ。泣いたっていいのよ、激しくいつまでもワーワーの
大泣きをしてあげるんだからぁ。ワタシだって、よりキズついちゃう年頃なんだも
んっ」
「わかったよモ~、もう言わないって」
「ゴメンなさいでしょ」
「‥‥ゴメンなさい、けどそれももうやめてくれない? ボクと一緒に変に成長し
ちゃってるdooなんだから、わかるでしょ?」
「何がよ?」
「だから、言葉と本心は完全に同じじゃないってことや、言葉には言葉どおりじゃ
ない意味があるとか、面倒クサそうだからとりあえず謝ってるだけで、ホントは、
そんなdooにボクが呆れてることとか」
魁の表情は、TVにセットされているなど複数台のカメラでしっかりと捉え、分
析、認識、対応選択肢の順位付けから判断までが既に完了している。
そのためdooも、TV画面から呆れ顔を浮かべながら返答。
「わかるわよ、魁の言いたいことは。だけど魁の本心まではわからないから、なん
か面倒クサそうと思わせることができれば、それでいいんだもん、次から言い難く
なるのは間違いないでしょ」
「それってなんか、お母さんのやり方と同じだって。dooまで真似すんのやめて
よねっ」
「別に魁のお母さんを真似しているわけじゃないし、魁のお母さんもそんな考えか
らクドクド言うの、それを躾って言うのよ」
溜息を吐くとともに、魁は背中からゴロンと仰向けに寝転がった。
「オトナの都合もいいよもう‥‥dooの言うとおりにすればいいのはわかってて
もさ、それは嫌って言うより、それじゃスッキリしないんだよ」
「発達段階におけるアシンクロニー(心・体・知非同調)ね。認知と情動のギャッ
プでアンビヴァレンスが適切に処理しきれず、高い衝動性からの情動調整がムズい
ってことだわ‥‥」
「知らないよっ。とにかくdooのやり方じゃ根本的に解決しない、対症療法って
ヤツでしかないんじゃないの? そんなのに慣れたくなんかないだけ」




