000-02
かまわず魁は、明王切りを魔人モドキに対して正眼にかまえる。
戦闘態勢を整えきった魁は、明王斬りが呼び寄せられたのに、呼ぶ必要もなくつ
いて来るミネオラはむしろよかったとして、dooが未だ姿を見せないことに、そ
こはかとなく不吉さを覚えてもいた。
さらには、明王切りをかまえているにもかかわらず、魔人モドキに戦意喪失の気
配すら窺えない。
それどころか、次のドヤバげな攻撃のために、両腕を指揮者みたく振り回す動作
が速度を増している。
モドキでも魔人と一緒で、魔のチカラを行使するのに、人が魔法として発動させ
る呪文詠唱は必要ないらしい。
その代わりに、あのような怪態な動きでチカラをヒネくり出しながら、思うがま
まのカタチへと変えていやがるんだろう‥‥そんな風に魁は考察していた。
魁は軽く呼吸を整え、片をチャッチャとつけてしまう腹もムリくり決める。
魔人モドキを一振りで戦闘不能にするために、明王斬りをバットよろしくフルス
イング──。
目に見えない斬撃が魁のイメージどおりに襲かかったことは、魔人モドキの吹っ
飛び方から、紛れもなく見て取れた。
しかし、それだけ──魔人モドキは、まるでダメージを受けていないかのように
体を起こし、ヨロケもせずに立ち上がる。
そればかりか笑っていた。──「あハはァ、愉シいィぃィ」──などと、なんだ
か、何人もの歓声や悲鳴が入り交じっての爆笑にすら聞こえてきた。
両腕の動きも再開、途絶させたのに、それまでの術式構成が御破算になっていな
いらしく、二、三の腕の振りで、それまではわからなかった雷球の輪郭が、うっす
ら見て取れるようになってしまう。
それは、直径二メートルにもなろうかと言うサイズ、バチンッバチンッと丸い輪
郭上に幾つもの小さな稲妻が走りだしている。しかもまだまだ成長する勢い‥‥。
そんな攻撃を投げつけられたら堪らない。雷電系の攻撃は、明王斬りでメインの
稲妻を斬り払っても、そのあとから残留電荷がバチバチと纏わりついてくる。
あの雷球ならばおそらく、周囲で渦巻く枝雷によるダメージを強く
受けてしまうおそれが大きい。
そのおそれを回避するべく、魁は再び明王切りを打ち振るう──今度は真向からの振り下ろし、やはり目一杯の思いっきり。
魔人モドキの頭上で膨張しきっていく電球ごと、魔人モドキをたたき拉ぐイメージで。




