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vividy b(o/ud)dy doo  作者: ┃<∪┃∩>┃
クロスローズ ー 断決点 ー
19/30

001-12

「モォ~‥‥自己完結ギレするのはやめてよね、魁ってば」


「もういいっ、世界とかどうだって。ボクだって知るもんかっ、ボクはボクで好き

にやる!」


「エッ? ウソ、チョット待っ――」


 どんな口ぶりだろうが、dooが消える気などないことはお見通し、今はそれに

(たま)らなく嫌気が差す魁から、TVの電源スイッチをオフ。


 ヘッドセットも(はぎ)ぎとって、コントローラーと一緒に放り出したあと魁は、ダイ

ニングとキッチンの境目を示すみたく置かれたウォータースタンドへ、ズンズンと

向かう。


 コップになみなみと注いだ水を一気に飲み()し、大きなゲップも吐いて人心地(ひとごこち)

いた魁は、家族三人でしか使わない八人がけのダイニングテーブルにコップを置く

と、自身もイスの一つに腰かける。


 狭くはないものの、キッチンスペースまでが同じ幅で縦長につながるリビングダ

イニングを見やれば、最初から自分一人しかいないにもかかわらず、dooを消し

たえ静けさから、ヤケに圧迫感を(おぼ)えだしてしまう魁だった。


 会話をしていなくても、dooが勝手にシャララ~ンと動き、バズりかけのダン

スも見せてくれるディスプレイ類は、離れて来たTV画面を始め一切の電源が入っ

ていない。

 そのため、魁の目が唯一(ゆいつ)動きを(とら)えたのは、普段ならばまず気に()めもしない掛

け時計の秒針のみ。


 Web学習塾のオンライン指導サーヴィスを受ける時刻までは、まだ二時間半近

くもある。


 それまでは、食後に眠気が襲わないよう、()えてだらだらと昼食を済ませておく

以外に、しなければならない用事も予定もない。

 魁は、深く長い溜息をつきながら、もう中学受験のための学習指導すらも、受け

る必要がないのではないかと思い至って、ヴェランダの胸壁が(した)三分の一ほどを隠

す、ガラス戸越しの風景へと視点を上げた。


「‥‥何が世界だよ‥‥何なんだよ世界って? 変えたいのは世界じゃなく人なん

だ。人ならあんなビルよりずっと簡単に蹴り退かせちゃえるのに、それを世界が許

さないからウザキモいんだっ‥‥」


 ゾゾ髪立ってきてしまう魁だけれども、頭をふって払いのける。


「‥‥そんな世界も人も、変える意味なんかない気がする。第一ボクがやりたいよ

うにガンバらなくちゃ、変えられたって(うれ)しくないっての全然っ‥‥」


 再び長く深い溜息をついてしまう魁だった。


 だが、大きく伸びもしながらイスの背へ(もた)れかかる際、母親の(つう)めかした食器コ

レクションが収まる飾り棚の上に、鎮座(ちんざ)まします無粋(ぶすい)なアルミ缶を目の(すみ)に入れる

と、背凭(せもた)れに上体を崩れ込ませたあとは一思案(ひとしあん)


 そして、さらなる決心を固めた魁は、イスから勢い良く立ち上がる。


 キャッシュで買い物をした日に、母親が財布から廃棄するように小銭を入れてい

その缶型貯金箱(・・・・・・・)へと、躊躇(ためら)いを見せずに手を伸ばした──。

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