001-06
「‥‥何それ? わかり易くイジワルされる方が、実はまだマシだったとか‥‥」
絶句する魁だが、今度は背中を丸め両手で床を殴りつけることで絶望感を表現し
た。
「究極的なことだって言ったでしょ。魁が今スグ大きくすっかり変われないみたい
に、みんなもそうなの」
「ウ~‥‥」
「そして魁が大きくすっかり変わって欲しいことは、理想っていう、夢とか憧れと
かを懐いちゃう人間にはムリなことなのよ」
「何度言われたって全然わかんないよっ。何でボクみたくなりたいわけ? だから
って何でイジワルするの? 何でイジワルされるボクの方がガマンしなくちゃいけ
ないわけ!?」
「ホラァ。そこをわかってくれない魁には、何を話そうがまだ早いのよぉ」
「ごまかすなっ。何でそこまでしてガッコに行かなくちゃいけないんだよ? ガッ
コなんか行かなくてもボクはバカにならないっ」
魁は跳ねるように立ち上がり、両踵でも床を大きく鳴らす。
「‥‥本当にそうかしらぁ?」
「そうさっ。やっぱり矛盾してるんだよdooはっ。集団行動を学ぶためとか言う
けど、そんなのできてやしないじゃないか」
「ん~、学べているんじゃないかしらぁ一応」
「それじゃぁボクは、ガマンすることを苦労して勉強してるわけっ?」
「ウソッ今更ぁ? ヤバいくらいおバカじゃないの魁~」
「‥‥フン。そりゃdooにあれこれ教わってるボクは、dooからすればバカだ
ろうけどさ、今更って何がだよ?」
「ガマンを勉強しにガッコへ行っているってことよっ。集団行動で一番大事で難し
いのはガマンだもん」
「エェ~ッ!」
「ガマンをしながら、大勢いないとできないことや、大きな目標達成のために、何
をどうガンバるかを学びに行っているんでしょ」
「ウソでしょっ‥‥」
「何せ、昇華につながるポジティヴなガマンができるようになるには、色んなガマ
ンを学習しておかなくちゃだしぃ」
「‥‥マジガチに?」あまりに平然と言い退けてくれたdooに、魁もどうにか唖
然とならずにいられたと言える。
「マジガチよぉ。ウソなんて言わないもんワタシ~」
「じゃぁボクにイジワルする奴らは何なのっ? ボクがガンバっても、決定的なト
コで邪魔して、もう少しってトコでダメにして、それを全部ボクのせいにするっ」
「それは、貴重なガマン体験よねっ」
「奴らがボクのために、わざわざ難しく嫌になるようにしてくれてるわけ? それ
も勉強って言うんなら、ガッコなんかなくなった方がいいよ!」
魁の小づくりな頭の中では、パンドラの箱が爆開きしたかのように、忌まわしい
記憶が溢れ出す――。
人一倍走りまくって完全なフリーになってもパスが出されず、そのまま思いきり
シュートミスをされて、勝てたゲームを見す見す落とすばかりの悔しすぎるサッカ
ーやバスケシーンの数数‥‥。




