001-04
「一体どう、とり返しがつかなくなりそうなわけぇ?」
「‥‥ボクの心が死んじゃう気がする」
「何で、そんな風に思うの?」dooはまごつかないことだけを優先させたあいし
らい──。
「‥‥ボクはイジワル言ったりしてくる奴らを、何て言うか、対等にしてない。た
ぶん逃げて相手にしないのは、オトナぶって見下しちゃってることになるんだ」
「フ~ン。そう‥‥」深刻ではないと判断し、内心で胸をなでおろすようなトーン
で答えるdooだった。
「だから余計にイジワルしたくなるんだろうし、完全にやめてもくれない。結局、
dooの言うとおりにしちゃっているのが原因じゃないの?」
「でも魁は、それを納得できるわけ?」
「んん? ‥‥納得できないって言ってるんだよ、dooのやり方を」
「だって逃げずに相手をしても同じなのよ、原因はワタシのやり方じゃなく、魁と
いう存在自体なんだから」
「ウ~‥‥」
「魁が同じクラスにいるだけで、イジワルしたくなっちゃう子が出てきて、同じよ
うな子たちが、仲間をつくってイジワルしてくるのが、魁のリアルなんだから」
「‥‥でも、やり返せば奴らと同じ、対等になれる気がするよ」
「対等にやり返すのがムズいでしょ、絶対に対等じゃないダメなんだからそこは」
「大ケガさせちゃえばボクはもう、イジワルしようって気になんかならない、ヤバ
い存在になれるんじゃないの?」
「そのヤバいは、本当のヤバいでしょっ、それこそとり返しのつかないことだわ」
「ウゥ~‥‥」
「そうならないようにワタシがついているのに、魁もそれだけは避けたいから、ワ
タシの言うことを聞いてくれていたんでしょ」
「だから、もういい加減嫌になったのっ、慣れちゃうなんてできないって言ったの
はそういうこと。このままだと心が死んじゃう、ゾンビになるのは嫌だボクはっ」
「アラァ、オモシロいこと言うわねぇ」
「どうせとり返しのつかないことになるんなら、ボクはボクの立場とかじゃなくて
ボク自体を守るっ。dooが守ってるのはボクじゃなく、お母さんたちの立場じゃ
ないの!」
「そんなことはないもん、ワタシだって魁のお母さんはウザいけど、魁のためにガ
ンバっているのにぃ」
「ウソだっ。ホントにボクのためなら、ボクだってガンバれると思うし」
「モォ~、ウソじゃないもん。第一ワタシの指示に従わないと、イジワルがイジメ
に悪化しちゃうのよっ。ワタシはそういう問題の正解を全部知っているんだから」
dooはTV画面に全身を表示させ、仰け反らんばかりに胸を張っての自信満満
ポーズまで披露。
「正解どおりになり続けるのも、なんかムカつくんだっ‥‥ずっと続くイジメの方
が、チョコチョコ突然やられるイジワルよりマシじゃないの?」
「エェッ? マシなわけないじゃないのよ~」
「イジメなら、もっとセンセもお母さんたちも深刻に考えてくれて、大きくすっか
り変えてもらえる気がしちゃうし」
魁はモゾモゾと、上半身を起こしながら抗弁を続ける。




